柄本が考える「いい舞台」
「今でもそうなんですが、僕はとにかく負けず嫌い。誰よりも先にいい役がもらいたかった。でも、当時も今も自信なんて、ないですよ(笑)」
そう笑顔で語る裏では、
「レッスンを休まないほうがコンディションがいい。それに、自分が見ていないところで、誰かがコツをつかむかもしれないと思うと休んでいられない。体調が悪くてもレッスンに行き、できることはやる」
と語るひたむきな努力と、その努力だけでは到達できない圧倒的な華を柄本は持っている。
「2度目の主役をさせていただいたとき、大先輩から“背中で周りを引っ張れ”と言われたことがありました。今になってようやくその意味がわかり始めてきた気がしています。
先頭に立つ自分が舞台の道筋をつくり、周りのダンサーに示していく。いい舞台は、真ん中に立つ人だけの出来でも、周りで支えてくれるダンサーの力だけでもない。全員が同じ方向を向いて創り上げることができたからだと思っています」
最近のご褒美は、
「ぼたもち。お店の前を通ると、今日は買って帰ろうかなって」
と笑顔。
ついさっき『海賊』のリハーサルで見せてくれた感涙レベルの圧倒的な肉体のパワーと美しさとは対照的な人懐っこい表情に、今後、さらに多くのファンを魅力していく予感がする。
<プロフィール>
つかもと・だん◎東京バレエ団プリンシパル。1989年、京都府生まれ。’10年1月の『ラ・シルフィード』で主役に選ばれ、同年の4月『ザ・カブキ』の主役にも抜擢。’15年には世界的振付家、故モーリス・ベジャールの名作『ボレロ』の主役を務める。現在、『ボレロ』を踊ることが許可されている、ただひとりの日本人男性ダンサー。
●プティパ生誕200年記念『海賊』プロローグ付き全3幕[東京バレエ団初演]
3月15日~17日 東京文化会館にて
公式サイト https://www.nbs.or.jp/stages/2019/lecorsaire/
●ブルメイステル版『白鳥の湖』全4幕
4月27日~29日 東京文化会館にて
公式サイト https://www.nbs.or.jp/stages/2019/swan/
◆4月28日 柄本弾トークイベント開催決定!!
詳細は『上野の森バレエホリデイ』
公式サイト https://balletholiday.com/