これはある女優の話。
仕事を休み、長期リフレッシュ休暇を取っていた彼女が、久しぶりにバラエティ番組に出演したときのことだ。その女優の顔は、視聴者の誰が見てもわかるほど、パンパンに腫れ上がっていた。
それからしばらくして、再びテレビに顔を出したとき、腫れは引いていたが、顔の輪郭、目、鼻は以前と大きく変わっていた。
「もともと美人女優で通っていたこともあり、業界では“なぜあんなに大きな整形をしたのか”と不思議がる人が多かったです。精神的に追い詰められていたのか、何かあったのか、と訝(いぶか)しがりました。それが原因かはわかりませんが、仕事のオファーも減ってしまったとか」(民放テレビ局スタッフ)
整形後、大ブレークするどころかむしろ遠ざけられてしまうことも。コンプレックスを取り払うかわりに仕事に悪影響を及ぼす場合もあったのだ。
これが芸能界における美容整形の功罪といえるだろう。
有村の場合はどうだろうか。番組とのコラボとは言いながらも、ただのカミングアウトではなく手術の様子を見せたり、自身の葛藤を吐露したりといった、すべての過程を赤裸々に放送した。整形手術それ自体をひとつの“人間ドラマ”として捉え、感動を覚えた視聴者も多いだろう。
これによって芸能人の“大がかりな整形”に対するネガティブなイメージを払拭し、ポジティブなイメージにまで昇華させることに成功したといってもいいのではないか。ネット上で散見される称賛の声はそこからきているのかもしれない。
有村のカミングアウトで、これから芸能界で整形の扱いがどう変わるか、気になるところだ。
<芸能ジャーナリスト・佐々木博之>
◎元フライデー記者。現在も週刊誌等で取材活動を続けており、テレビ・ラジオ番組などでコメンテーターとしても活躍中。