斎藤佑樹 撮影/廣瀬靖士
斎藤佑樹 撮影/廣瀬靖士
真摯にインタビューに答える斎藤佑樹

プロ野球選手として

 '10年のドラフトで4球団が1位指名。交渉権を獲得した北海道日本ハムファイターズに入団する。

 1年目は6勝、2年目は5勝するが、3年目の勝ち星はなく、8年目となった昨シーズンまでで62先発、15勝……。期待された成績は残せていない。正直、プロでもっと活躍できると思っていたのでは?

それは思ってたけど、それはやっぱり願望でしかないですよね

 優等生な答えに、意地悪く問い返す。プロでの華々しい活躍を思い描いていた自分を甘かったと思うか?

「そうは思いませんね。変な言い方になるかもしれませんが、“僕の人生を誰か代わりにやってみろ”と思うことはあります。

 やっぱり今の自分に対して、ずっとそうやってプライドを持って生きているし。やっぱり自分じゃないと、この人生は絶対できないとも思っているから

 やはり、負けん気は強い。“輝きが失われた”などの言葉には、こう思うようにしている。

「“ここからでしょ!”。中学3年生で群馬県の田舎から、大都会・東京に出てきたとき、僕はそんな気持ちでいたので。だから、あのころの気持ちにまた戻ったような気がしています

 現在のコンディションはいいが、思い描くイメージと身体の歯車が合わないことのほうが、まだ多いという。

「ケガの影響だと思いたいんですけど、やっぱり変なクセもついてて。それも含めて、今の自分だから、うまいこと自分で落としどころをつけないといけない

 無名選手だったら、戦力外通告をされていてもおかしくない。それでも“今シーズンこそ”と悲願に近い期待がファンからは寄せられている。ほかの選手であれば箸にも棒にもかからないことが、斎藤であれば今でもニュースになる。

「そんなに実績も残してない選手に対して、そこまで注目してもらえて、僕自身としてはすごいモチベーションになるし、ありがたいと思っています。

 でもその分、成績が出なかったときの落とされ方もわかっている。だから、それも含めて、一喜一憂しないようにしています。それに、どう扱われようと、プロ野球選手としてやらなきゃいけないことは変わらないので

 斎藤の今の目標は、この'19年のシーズンで1勝でも多く挙げることだ。

「もう本当に、1年1年が勝負。クビって言われたら、クビ。“お願いします。どうしても野球がやりたいんです”と言ってやれる世界じゃない。

 だから、その日が来るまでは、本当に1試合1試合、野球を楽しみながらやりたい