ネットの発達で“やらかし”が流出
そして平成26年には、佐村河内守、小保方晴子、野々村竜太郎といった人たちが会見を開きます。耳は聴こえているのか、あのメイクはどうやったのか、といったことに興味シンシンとなったり、議員センセイの号泣にあきれたり。
また、会見では、その7年前の「ささやき女将」も印象的です。言葉につまった息子に助け船を出そうとして、その声がマイクに拾われてしまったがゆえのハプニング。実は弁護士に教えられた模範回答を女将だけが覚えていたことが、あだになったのでした。
そう、会見のように準備や練習が可能な場でも、人は失敗するのです。それ以外の状況でやらかしてしまうのも無理はないのかもしれません。秘書にミュージカル調の説教をした豊田真由子や、育休中に愛人を「私のど真ん中はソナタ」とLINEで口説いた宮崎謙介。
こうした“やらかし”が流出しやすくなったのも、ネット文化が発達した平成ならではです。川越シェフは『食べログ』の書き込みに反論した“水発言”で炎上、自らフェードアウトしていきました。
そんな風潮のなかで“炎上ガール”と呼ばれた人たちがいます。狩野英孝の6股騒動では加藤紗里、川谷絵音のゲス不倫ではほのかりん……。また、熊田曜子に似ていると“くまぇり”と名乗っていたネットアイドルを覚えている人もいるでしょう。放火で捕まり、文字どおりの炎上ガールとなってしまいました。
とまあ、犯罪はよくないですが、個人個人が自由に思いを世間に発信できるようになった今、誰もが一発屋になる可能性を秘めているともいえます。それが幸せかどうかは、一発屋のみぞ知るということで──。
(文・宝泉薫)
《著者PROFILE》
宝泉 薫さん ◎ミニコミ誌『よい子の歌謡曲』発行人を経て、『週刊明星』などで執筆。アイドル、二次元、流行歌など、さまざまなジャンルをテーマに取材。近著に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)