有名シェフに直接交渉
「販路開拓にあたっては、JAや卸会社に大量に購入してもらうのか、個別にレストランへ販売するのか議論がありました。ただ、先のことを考えるとマーケティング調査のためにもシェフとのつながりが欠かせないと考え、個別に売り込む出荷体系にしました」
そこで、商工会はSNSで有名シェフに直接メッセージを送り、河北町のイタリア野菜をPR。東京のイタリア料理店にも足繁く通い、実際に試食してもらいながら地道に営業活動に励み、販路を作っていった。
「毎年必ず、生産者と東京のレストランへ出向いています。実際にどのように調理され、どういったニーズがあるのかを直接聞くことは生産者にとってモチベーションになります」
今では県内のレストラン約100店舗、県外125店舗、卸会社30店舗と取引。売り上げは出荷を開始した'13年12月の決算では60万円だったが、'18年は1800万円。今年は3600万円を目標としている。
3月には東京・三軒茶屋に河北町のアンテナショップをオープンし、一般向けの小売りの販売も開始。地元の食品メーカーとの商品開発や学校給食、病院への利用も進んでいる。
河北町のイタリア野菜としてブランド化に成功したものの、栽培が難しく、まだ生産者にとって主要な収入源にはならないという。
「今後は、生産技術のマニュアル化を進めて生産性を向上させることと、生産者を増やすことが課題ですね」