2019年2月、新潟県の私立青陵高校で1年の男子生徒2人が複数の同級生などから蹴られたり、棒のようなもので叩かれたりする様子が映った動画がネット上に投稿、拡散された。動画は加害者生徒の1人によってインスタグラムに投稿された後、ツイッターで拡散。被害を受けた生徒は県警に被害届を出すといい、県警少年課も動画を確認、暴行容疑で捜査を始めたという。
また2018年1月には、岡山県の岡山商科大学付属高校で廊下にうずくまった男子生徒が、周囲の生徒からタオルで何回も叩かれる動画がツイッターで拡散。いじめに関わった生徒たちいわく、「遊びで投稿したものが、いじめと勘違いされた」という。
今年頻発した「バイトテロ」(アルバイト従業員が不適切な動画をネット上に投稿すること)もそうだが、生徒自ら動画をSNSに投稿したことで騒ぎとなるケースが目立つ。なぜ子どもたちは、「いじめ動画」を進んで投稿してしまうのだろうか。
「ウケるコンテンツを投稿したい」
いじめ動画の投稿者は、いじめの加害者本人が担うことが多い。筆者は、ある加害者生徒が投稿の理由を聞かれて、「面白い動画が撮れたから」と語っていたことが忘れられない。彼はいじめ動画を「仲間内でウケるコンテンツ」程度にしか見ていなかったようだ。
今の子どもたちは、さまざまなSNSでつながっており、ウケるコンテンツを投稿することで注目を集めたいと思っている。彼らにとってフォロワーや反応が多いことは快感であり、それは投稿するだけで簡単に叶えられるもの。だから、子どもたちはうかつに問題のある投稿をしてしまうのだ。
しかし、問題のある投稿をする子どもの多くは「ネットはオープンな世界」ということを忘れがちであり、その結果、冒頭のような問題につながっている。
最近は、動画投稿アプリ「TikTok」でのいじめも目立ってきている。TikTokに投稿した動画に嫌がらせや悪口のコメントを書き込むケースはとても多い。
ある女子小学生が投稿する動画には毎回、アンチコメントがついている。「この子の何が可愛いのかほんとにわかんない」「この子のファンはブス多し、アンチ軍可愛い子多し」などのアンチコメントに対してファンがコメントで言い返す事態が繰り返されている。
YouTubeでTikTok動画をさらす行為も多数行われている。元動画を編集することで、投稿者の容姿を誹謗中傷したり、「黒歴史」などのタイトルをつけたりして、評判を貶めるケースは少なくない。