市販のお弁当は安くすむけど高カロリーと野菜不足が……、そんな心配をよそに、首都圏の青果店で販売されている「八百屋さんのお弁当」が人気だ。ヘルシーでおいしい、なおかつリーズナブルな価格で提供できる理由のウラには、産地と都市を結びつける新しい“食農”の形があった──。

八百屋さんに行列ができる理由

今日は何にしようかな……。え~と、これください!

 東京・五反田の一角にある一見、普通の八百屋さん。お昼の12時になると、続々と人が集まりあっという間に大行列ができた。本日、特売日!? 大安売りでもしているのかな、と思いきや、並んでいるのは買い物袋をさげた主婦ではなくOLやサラリーマンばかり。なぜ、これほどまでに八百屋に行列ができているの!?

 実は、彼女たちが求めているのはお弁当。ここ『旬八青果店』は、全国各地でとれた野菜をふんだんに使用し、無添加調理で作ったお弁当やお惣菜を店頭で販売する、いま話題の八百屋なのだ。

「コンビニや他店舗で売られているお弁当よりも野菜をたくさん食べられるのが魅力。種類も豊富なので、野菜を飽きずに食べられるのもうれしいですね」と笑うのは、近辺で働く30代女性。

 たしかに、並んだお弁当を見ると、「5種の彩り野菜のキーマカレー」「ハモちくわののり弁」「アジのみりん干し弁当」など、名前からして身体にいい響き。口コミやSNSなどで人が人を呼び、今年4月にはメニューが大幅に増え、リニューアル。新メニューの「ほぼ1日分の旬八野菜がとれるエスニックヌードル」は、こんにゃく麺を使用し、1日に必要な野菜量約350gを摂取できるなど、野菜不足の人&ダイエットを目指す人にとっては、まさに“垂涎の的”といえる。

「ほぼ1日分の旬八野菜がとれるエスニックヌードル」(税込み680円)
「ほぼ1日分の旬八野菜がとれるエスニックヌードル」(税込み680円)

 また、お弁当を購入する人は女性ばかりでなく、冒頭で触れたようにサラリーマンもとても多い。

週2~3回ほど購入しています。ベルトの穴をひとつきつく締めることができるようになりましたし、健康も気になる年ですからね」とは40代男性。加えて「財布にもやさしいので助かっています」と続けるように、お弁当はどれも500円~700円台と、リーズナブルな値段も人気の一因となっているようだ。

低価格を実現する
産地とのWタッグ

“新鮮・おいしい・適正価格”。それが旬八青果店のモットーです。小売りだけでは伝わらない青果の魅力やおいしさを、お弁当、お惣菜という形で届けたかった

 と話すのは、旬八青果店を運営する株式会社アグリゲート代表取締役・左今克憲さん。

 現在、旬八青果店は東京・神奈川に16店舗を展開。もちろん、お弁当だけではなく、全国各地から集められたおいしい野菜を販売している。

 そんな人気を支える“モットー”を可能にする理由について「生産、物流、仕入れ卸、製造、販売まですべてを自社で一気通貫で行っているから」と左今さんは説明する。