兵庫 平和の象徴ホーホケキョ
兵庫の『鴬ボール』は発売から約90年の、かりんとう風あられです。梅の花のようなビジュアルゆえ、「梅に鶯」から命名されました。このことわざは、「取り合わせのよい2つのもの」の意味。餅米と小麦粉のボールを油で揚げ、砂糖と塩で味つけした、異なる歯ごたえと甘塩っぱさは、まさに調和の見本です。
地元で有名な「ホーホケキョ」で始まるCMは、実にのどか。しかし、発売当時の日本は、第2次世界大戦へとまっしぐら。当時は「爆弾ボール」と呼ばれていたとか。このお菓子を『鴬ボール』と呼べるのは、平和である証でもあるんです。
126g、220円/植垣米菓
高知 ご当地菓子の先駆者
近年の“ご当地菓子ブーム”の火つけ役。『ミレービスケット』抜きに、ご当地菓子は語れません。
60年以上前から高知で愛されていましたが、県外ではほとんど無名でした。転機は11年前、東京での業界最大級の展示会に初出品すると、スーパーのバイヤーが大注目。昭和の懐かしさを残す、ほんのり甘くて塩気のきいたフライビスケットは、あっという間に全国に販路を広げました。
その後もオリジナルの塩味のほか、「1日中ミレー」をテーマに、朝のコーンポタージュ味、昼の生姜味、午後のブラックペッパー味、そして真夜中のにんにく味など、愉快な仲間が加わり、ファンを増やしています。
(文/菅原佳己) ※価格は参考価格
《PROFILE》
菅原佳己さん ◎スーパーマーケット研究家。'12年、著書『日本全国ご当地スーパー掘り出しの逸品』(講談社)でご当地スーパーブームを巻き起こす。新聞や雑誌の連載、講演も多数