障がいのある子と兄妹の関係
上の子に障がいがあると下の子は上の子を当たり前に受け入れて、よき理解者になってくれます。
下の子に障がいがあると上の子は自分も親に協力しなければと頑張っている子が多いように思います。
私は長男と7年あけて次男を、それから3年をあけて三男を授かりました。年が離れていることもあって、長男は弟とよく遊んでくれました。
けれど次男が知的に長男を超えるときが来たとき、兄に対して間違えを指摘するようになりました。明らかに間違っていることを指摘する弟、兄としての権威を脅かされる長男。弟に手を出すことはありませんが、悔しくて泣きながら壁を叩いています。穏やかな性格の彼の傷つく姿でした。
私は、長男の障がいについて次男がわかるように、一緒にお風呂に入りながら話すようにしました。小さな子であっても、ごまかさず、正面から話をすればわかってくれます。そして、下の子の理解が進みその成長とともに上の子とも上手に関わってくれるようになりました。
障がいのある兄妹をもつ子は、遠慮したり、我慢していることもたくさんあるかもしれません。ときには思いっきり甘える時間を作ってあげてください。「あなたが大好き」と伝えてあげましょう。障がいのある子もない子も同じ愛で包むことが大切なのです。
子どもとの関わりに迷ったとき
もし、子どもとの関わりに迷ったときは、自分の心と子どもの心を入れ替えてみてください。誰もが子ども時代を過ぎて今があります。思い出すことがきっとできるはずです。
「自分が子どものときにどのように感じたか」
「大人にどのように接してほしかったか」
「どんな言葉をかけてほしかったか」
自分だったら……と考えます。きっとよい考えが見えてくるはずです。
少なくとも大人が自分を理解しようとしてくれることが伝われば、子どもは心を開くことや心を立て直すことができるのです。
親の望みと子の望み
人に好かれるいい子に育ってほしいという思いは、親ならば誰もが持っていることでしょう。誰もが「こんな子になってほしい!」と理想を描くものです。
だから、わが子が障がいのある子だったとき、戸惑い、嘆くかもしれません。障がいのある子は理想とはかけ離れた子かもしれません。
ですが、思い描く理想の子どもを心の中から排除しなければ、目の前の子を受け入れることはできません。いつまでも理想を追い求めることは、障がいのあるわが子を認めないということなのです。
認められない子は、満たされない思いと親に対して申し訳ない気持ちでいっぱいになってしまいます。
どんな子でも認められ「そのままのあなたが大好きだよ」のメッセージを受け取れるように、この世にたったひとりのわが子を受け入れてください。
●かわぎし・けいこ●1956年神奈川県横浜市生まれ。特定非営利活動法人あかり代表理事。1978年、1985年、1988年に男児を授かる。1989年に埼玉県久喜市に移住。長男に障がいがあったため、地域の人々に障がいの認知を促進するための市民活動や特別支援学校での活動に力を注ぐ。その間に地域の中学校PTA会長、特別支援学校PTA会長を務める。1996年地域の福祉ステーションとして「珈琲豆焙煎屋ポアポア」を開店。2006年3月「特定非営利活動法人あかり」を設立。現在、児童発達支援センター3か所・放課後等デイサービス12か所・就労支援事業所3か所など、28の施設を運営している。