――入学後の感想をお聞かせください。

慶應義塾横浜初等部は2013年に新設された学校で、息子が入学したときは、まだ全学年の生徒がそろう前でした。そのため、新しくて広い校舎はまだガラガラの状態。それでもなぜか活気あふれているのです。

 広い天然芝のグランドを素足で毎日走れるなんて、贅沢な学校ですよね。生き物の生態を観測できるビオトープなどもあり、低学年のころは毎日靴がドロドロになって帰宅してきました。英語の授業も充実しており、学費はおそらく国内最高額の小学校だとは思いますが、変な言い方をすれば、元は取れていると思います。

 通学は一時間ほどと遠いですが、毎朝楽しく通学しており、たくましく育ってくれました。土曜日も毎週授業があるので、共働きの家庭にとって唯一、家族で過ごせる貴重な週末がつぶれてしまうのは残念なのですが、子どもが楽しんでいるのであればそれがベストです。

 それと、大学のクラブ活動が主宰する小学生の部に参加できるのもありがたいです。幼稚舎と合同で、サッカー、フラッグフットボール、アイスホッケー、ヨット、少林寺拳法、空手などを大学のコーチ、現役部員、OBたちに指導してもらえます。これぞ“社中協力”なんですね。結局それらも、土曜日の午後や日曜日に練習があるので、家族の時間よりも“慶應義塾”を満喫しているようです」

 受験対策は、あれもこれもと手を出さず、大手教室とフォローアップの個人の先生という最低限のものだけでも、ご両親がしっかりと研究して受験に挑めばよい結果を引き寄せるのがよくわかる事例だと思いました。

 そして何よりお父様が、初等部の系列大学であり、自らの出身でもあるSFCについて深く理解されていたこと、攻略できていたことが結果に結びついたのでしょう。

 次回は聖心と暁星学園に合格を勝ち取った二人のお母様からお話を伺う予定です。

<著者プロフィール>
いとうゆりこ◎お受験コンシェルジュ&戦略プランナー。自身の経験から美容や健康・芸能・東京に関するマネー情報まで幅広い記事を各媒体で執筆中。いとうゆりこ受験情報公式サイトは、https://itoyuriko.studio.design