ところが事件発覚の10日前、急に電話がきたという。
「用件があって電話してきたわけではなさそうなので、近況を尋ねると“猫カフェによく行っている。猫ちゃん飼いたい”と言っていました。無駄遣いをしない性格なのでちょっと驚いた」(同男性)
仏壇の近くにセーラー服
新村容疑者がこの男性に通っていると話した猫カフェを取材すると、
「確かに男性のひとり客はいましたが、新村容疑者かどうかはわからない」と担当者。この猫カフェの周辺でも猫が行方不明になっている。
さらに、新村容疑者には変わった趣味があった。前出の上田さんらが直接対決のため容疑者宅を訪問した際、仏壇の近くに白い半袖のセーラー服の上下が飾られていた。独身の50代男が何に使うのか不思議に思って質問すると、「これは趣味。インターネットで購入した」と入手ルートまで説明したという。
新村容疑者には、本当に友達と呼べる存在はいなかったのだろうか。中古車店で目撃されたのが本人に間違いないとすれば、一緒にいた女性や2人の男性との関係は何か。事件発覚から3週間、まだまだ謎に包まれた部分が多い中、愛猫が帰ってこない人たちの胸中が晴れることはない。
前出・上田さんは目を赤く腫らして憤る。
「もう、3週間も仕事できとらんちゃ。特に妻が悲しんでいる。モコオは寝ている妻の胸の上にドーンと乗ってきたり、甘えていましたから。こんな男に大切な家族を、と思うと怒りより悲しみのほうが強い。モコオは実は誰かに拾われて幸せに暮らしとる、帰ってくるんじゃって期待してしまって……」
前出・坂本さんも、「いなくなった猫の動画を見ると涙が……。容疑者は理解できません。厳罰を望みます」と言うのが精いっぱいだった。
犯人は逮捕されても被害猫たちは見つからないまま。家族らの怒りと悲しみは、行き場を失っている。