刺されやすい血液型は?

 私たちの身近にいて、さまざまな感染症を媒介する蚊。その生態に詳しい、害虫防除技術研究所の代表・白井良和さんに話を聞いた。

※写真はイメージです
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 まずは、刺されやすい人について、

「蚊は温度、二酸化炭素、水分という3つの要素に誘引されます。なので体温が高く汗かきの人は要注意。また皮脂のにおいや足のにおいのもとになるイソ吉草酸が多い人が刺されやすいといえます」

 蚊が血を吸うのは産卵のため。ということは、血を吸うのはメスだけなのだ。蚊にとって美味しく、刺されやすい血液型はあるのだろうか?

「イギリスで研究されたウッドさんという研究者が実験をして、O型、B型、AB型、A型の順に刺されやすいという結果を発表しました。私も実験をしましたが、確かに同様の結果になりました。

 しかし、O型に含まれるH抗原とA型に含まれるA抗原を腕に塗り刺される実験をしても、刺されにくさに変化は見られなかったのです。なので、血液型による刺されにくさのデータはあるが、ほかの要因も絡んでくるとしか言えません」

 では、蚊に刺されないためにできることはどんなことだろう?

「当たり前のことになってしまいますが、いちばんは虫除け剤を使用すること。あとは蚊は黒や紺という暗い色を好んで寄ってきますので、明るい色の服で長袖、長ズボンを着用し、極力素肌を出さないことです。蚊の生態については、まだまだわからないことが多いんです。研究者としては奥深い世界ですね」


《PROFILE》
岩田健太郎さん ◎神戸大学大学院医学研究科教授、神戸大学医学部附属病院感染症内科診療科長。日本の感染症診療の第一人者およびオピニオンリーダーとして国外でも活躍

向井人史さん ◎気候変動適応センター長。地球温暖化、越境大気汚染、環境科学の専門家として、気候変動の研究を行いながら、情報分析・情報提供を行っている

白井良和さん ◎医学博士。害虫駆除会社にて、ネズミやゴキブリ、蚊、ハチなどの害虫駆除業務に携わり、'03年に蚊の駆除業務を柱に(有)モストップを設立