理由その1:
SNSの時代であることをわかっていない

 タレントが選挙に出ると、「芸能人が政治家になって、何ができる」と必ず言われます。確かに、弁護士やニュースキャスターなど政治や法律にかかわる専門分野を持っている他の候補者と比べたら、知識や経験が不足している部分があるところは否めないでしょう。実際、三原じゅん子(自民党)や、谷亮子(民主党、1期で辞職)が出馬したときも、各週刊誌には「芸能人に何ができる」という論調の記事が並びました。

 週刊誌なら1週間もすれば、店頭から消えますが、SNSはそうはいきません。個人の意見をいつでもつぶやくことができますし、関心のある人の間でリツイートされたり、いいね! がついたりします。テレビや新聞でなく、SNSが世論を誘導することもある時代になってきています。

 仮に市井が不勉強で不見識な言動を取った場合、「アイドルが政治家に向いていない証拠」として、一気にSNSで拡散されるでしょう。タレント出身の候補者で、注目度が高いからこそ、ささいなミスも許されないのです。

理由その2:
タレント議員に向けられる視線が厳しくなっている

 アイドルでお母さんである参議院議員と言えば、元SPEEDの今井絵理子議員を思い出す人もいるでしょう。お子さんが聴覚障害者であることが政界進出のひとつの理由とされていますが、2017年に『週刊新潮』(新潮社)に神戸市の市議(当時)と新幹線内での手つなぎショットや、ホテルの同部屋宿泊を撮られています。今井議員は「一線を越えてない」と不倫関係を否定したものの、印象としてはかぎりなくクロでしょう。

「アイドルから政治家となり、仕事にかこつけて不倫をする」というあしき前例を今井議員が作ってしまったことに加え、上述したとおり、「そもそも、芸能人に何ができる」と思っている有権者はたくさんいます。芸能人から政治家になろうとする人に、かつてない厳しい視線が注がれていることを、市井本人や党は気づいているのでしょうか?