同級生を訪ねて作った“贈り物”
さくらさんの死を知ったとき、浜崎さんは真っ先にこんなことを思い出したという。
「小学生のとき、バトン部で一生懸命踊っているさくらの姿ですね。バトン部って可愛い女の子がやるものだと思っていたんだけど、あんな梅干しみたいな顔をして頑張ってるなーって(笑)。その姿がすごく印象的でした」
終始、楽しそうに話す浜崎さん。さくらさんの実家近くの住民も同様に笑みをこぼす。
「私は2人姉妹で、年が近かったから、さくらさんの姉妹とよく遊びました。 彼女の家に泊まったときは、ドラえもんみたいに押し入れをベッドにして寝ていました(笑)」
別の住民は、こう話す。
「漫画で『まる子』が野良犬に追いかけられて、お姉ちゃんに助けられるシーンがあるんですが、小学生のさくらさんが同じ目にあっている現場を目撃したことがあります(笑)。あのころは空き地も多かったし野良犬もそこらじゅうにいましたもんね」
さくらさんと浜崎さんは中学卒業後、17歳のときの同窓会で会ったきりだったが、
「俺が35歳のときに自費出版で『僕、はまじ』という本を作って電話でさくらに表紙のイラストを頼んだんです。そうしたら“すごいねー。はまじが本を出すなんて誰も思わなかったよ”って。だから“あんたのほうがすごいって。誰も億万長者になるなんて思わなかったよ”と言ってやりました(笑)。あと“みんなと会ってる? 元気?”と同級生を気にしていましたね」
そんな浜崎さんは、亡くなったさくらさんのために2枚の寄せ書きを作っていた。
「1枚は、元3年4組みんなの寄せ書きです。色紙の真ん中にさくらの本名を書いて、昨年10月に自転車で同級生らの自宅を1軒1軒回った。これは、さくらが有名だからやったわけではなく、同級生として当然だし、誰もやらないなら自分がやるしかないなと」