世帯所得が年1400万円でも購入は相当リスキー

 こうした背景のもと、資産価値が下がれば即、売却できるような富裕層以外の人たちは、タワマンは賃貸がベターであると宮路さんは主張する。

「富裕層を除くタワマン購入者の多くは世帯所得が年1400万円超のパワーカップルといわれる人たち。カップルで働いていますから、購入時の世帯所得こそ平均よりかなり豊かですが、多くが多額のローンを組んでの購入です。

 産休、育休で収入が下がる可能性や、決して安くはない管理費などの支払いを考えると、タワマンの資産価値が低下した場合、長期ローンを組んでの購入は相当リスキーではないでしょうか」

 確かに賃貸であれば、転居はずっと簡単だ。都心のど真ん中に住む利便性や、時代の最先端をいく場所に住む満足感、プールやジムなど充実した設備目的でタワマン居住を望むなら、賃貸での入居は確かに一考すべき。

 マンションの資産価値についても、こんなことを──。

「昔のように住宅不足で地価が右肩上がりの時代なら、利便性のいいマンションは資産価値がありました。しかし、少子高齢化が進み、空き家の増加が問題になるこの時代、ビンテージマンションと呼ばれる一部の物件こそ資産価値は高いですが、それ以外はいかがなものでしょうか」

 タワマンは購入してはいけないものなのか。

タワマンに限らず、住人が年をとり、居住者が入れ替わっていくマンションは売却することを前提に購入するべきというのが持論です。

 どうしても購入したい場合は、住み替えを前提に売りやすい物件を選ぶことです。具体的には、都心の真ん中で駅から近く、商業施設隣接で生活に便利な場所にあるような物件ですね。理想は山手線沿線でしょう。これらの条件がそろえば、それほどリスキーではないかもしれません」

 こうした都心以外なら、タワマンは賃貸で入居すべしと宮路さん。

「住宅購入はひとたび間違えると人生が狂います。タワマン購入は高額なだけに庶民には荷が重い。“終(つい)の棲家(すみか)”としてはおすすめしません」