女性を苦しませるような皇室でいいのか?

 多様性の時代と呼ばれて久しい。れいわから重度障害のある国会議員が2名誕生、自民党の小泉進次郎氏による「育休発言」が物議を醸すなど、永田町にも新たな風が吹き始めている。問題は、それに逆行するかのような政治の動きが目立つことだ。小学校で2018年から実施された道徳教科化は、国が愛国的な価値観を強制する危険性をはらむ。

「全体主義的な道徳教育は子どもの自由な発想を圧迫してしまう。そういった教育が浸透すれば、個性豊かな才能も生まれづらくなるでしょう。家庭環境は十人十色。上から価値観を押し付けて、十把ひとからげに子どもを扱うような考え方は言語道断です。

 安倍政権の一義的な考え方は、待機児童問題でも同じ。待機児童をゼロにするとしていますが、保育士の配置人数などの要件をゆるめて、ただ施設数を増やせばいいという話ではありません。求められているのは、子どもにとって安全・安心な環境であること。それを担保する質と量を踏まえてこそ、本当の待機児童解消と言えます

 多様性が求められる令和。国や国民の象徴である天皇の皇位継承をめぐって「女性を苦しませるような皇室でいいのでしょうか?」と、山尾氏は問いかける。

「皇位継承の資格要件は現在、男系男子かつ嫡出子とされています。皇太子が不在であるため、皇嗣となられた秋篠宮殿下の次の世代の継承資格者は、悠仁親王殿下おひとりです。

 現状の資格要件では、必然的に先細る制度であることは明白。皇室の女性たちは男系維持のプレッシャーにさらされてきました。そこへ入る女性にとっても、かかる負担はかなり大きい。明らかに時代にそぐわない制度や習慣は変えていくべきではないでしょうか

(取材・構成/我妻弘崇)


《PROFILE》
やまお・しおり ◎衆議院議員。東京都生まれ。'99年、東大法学部卒業。検察官を経て'09年、衆院選に愛知7区から出馬し初当選。民進党では法務委員、政務調査会長などを務めた。'17年12月から立憲民主党に所属。