近くに学校が。治安は大丈夫?
「横浜市が誘致候補地とする山下ふ頭の近くには雙葉小学校やフェリス女学院などの名門私立学校があります。そんな近くに博打場ができたら親は通わせたくなくなるし、治安悪化も心配します」
と訴えるのは横浜市のカジノ誘致に反対する一般社団法人横浜港ハーバーリゾート協会会長で“ハマのドン”とも呼ばれる藤木幸夫氏。さらに、
「海外では富裕層がカジノで負け、ホームレスになり何年も帰国できず、付近にたまるという話も聞きます。カジノの資金確保や借金返済のため得体の知れない人物が子どもたちにお金をせびったらどうですか。特に女の子はひとりでは歩かせられない」
和歌山県の「和歌山カジノに反対する海南の会」の担当者も危惧する。
「候補地までのルートは海南市の住民が普段利用する生活道路。カジノができ、観光客が増加すれば渋滞も増え、子どもたちの送り迎えや出勤など、日常生活に影響があるのではないか」
前出・大岩根校長は、
「懸念される治安悪化の原因はカジノではなく、雇用などで人口が増加したことに起因すると考えられる。犯罪が増え、治安が悪化すれば客は来なくなり収益が落ちるため行政や事業者にはマイナス。そのため治安維持、健全化にあたっては厳しく取り組むのでは」
千葉県でIR誘致に取り組む「千葉の未来を考える女性の会」の代表・田中結加氏も、
「治安に関して親はもっとも心配します。ただラスベガスなど海外のカジノに行き、そこでの治安も見て、犯罪が多いわけではないと安心したからこそ賛同する人もいます」
ママがハマって家庭崩壊?
「いちばんの懸念はカジノでのギャンブル依存症です。実はわれわれも最初はカジノの誘致に賛成でした。しかし、いろいろ調べていくと深刻な依存症問題が背景にあることを知り、反対の姿勢をとるようになったのです」(前出・藤木会長)
前出・鳥畑教授によるとカジノはほかのギャンブルに比べ依存症になる可能性が高いという。
「負けたぶんを取り返そう、とするうちに破滅する。統合型リゾートの恐ろしいところは、家族で利用できることで小さいころから子どもたちのカジノに対するハードルも下がることです。両親がカジノにハマれば家庭が壊される」
依存症になれば家の金を使い込み、知人らからも借金を重ねるなど、周囲も巻き込まれるおそれがある。多重債務や罪悪感から自殺するパターンも考えられるという。
特に深刻なのは女性だ。
「女性の場合は家庭や日々のストレスの癒しや居場所がカジノになる可能性がある」
家庭を顧みず、育児放棄に発展する場合もあると鳥畑教授は指摘する。
「調査でラスベガスに行ったとき、同地区では合法の売春の広告を掲示したトラックが昼間から街中を走っているのを見ました」(鳥畑教授)