再演にあたっては、よりレベルアップさせた舞台にしたいという熱い思いが伝わる。
「この2年半の間にもいろいろな舞台に出させていただいて、技術的なものも芝居の考え方としても、いのうえひでのりさんや白井晃さんをはじめいろいろな方の演出を受けて変わりましたし、小劇場やいろいろな舞台をすごく見に行くようになったので、台本を読んだときに自分がどう思うのか楽しみでもあります。
芝居は確実にレベルアップさせないと再演する意味はないと思うので、物語の中身の部分をすごく大事にしたいと思います。「暁の調べ」初演に引き続き、うちはサスケ役の佐藤流司くん、うちはイタチ役の良知真次さんたちがいますので、安心できますね。
原作ファンの方も初めて見る方でも楽しめる作品になっていますし、前回より成長を感じていただけるように頑張りますので、ぜひ劇場に足を運んでいただけたらうれしいです」
言葉に対してすごく敏感になった
近年、劇団☆新感線『髑髏城の七人 Season月』~下弦の月~、白井晃演出の『恐るべき子供たち』など話題の舞台に出演し、演劇の魅力にハマっている松岡さん。
「演劇ってドラマとか映像ではつまびらかにできないものとかを、非常につまびらかにするんですよね。人間がちょっと後ろめたいと思うものを見せる力があるんです。それを生身で演じることにすごく意味があって、映像に比べて規制が少なく表現できるのが演じていてすごく面白いです。
そのぶん自分自身をさらけ出さないといけない作業もありますけど、それも面白いですし恥ずかしさなんてないです。その出し方のテクニックを学んだり、スタニスラフスキーの演劇論を読んだりすると面白くて。
言葉に対してすごく敏感になったと思います。ひとつひとつのセリフの単語とかその言葉の波とか抑揚を非常に気をつけるようになりましたし、人間の五感を大切に扱うようになりました。より舞台が好きになりました」
舞台で身につけた演技力は、映像の仕事でも発揮されている。現在公開中の映画『いなくなれ、群青』では、謎だらけの階段島を舞台にした青春ファンタジーで横浜流星さん演じる主人公のクラスメート佐々岡役を好演。
「佐々岡は一見、元気で明るいですが、実は無理して明るくしていると思うんです。そういう人間が他人の言葉で傷ついたときにとことん傷つくので、その明暗の落差は役作りのうえで顕著に出そうと思って。傷ついたときの表情や相手を傷つけるような棘のある言葉の言い方は気をつけました。
佐々岡のちょっとセンシティブなところも見てもらいたいなと思います。この作品は、セリフが文語体で、大人っぽい言葉を学生が話しているズレもちょっと面白いと思います。キュンキュンする青春映画とは全く違う青春群像劇なので見た方がどう感じるのか楽しみです」