晩年もホラ話で人を笑わせて
記者が女子アナについての話に戻すと、
「今の女子アナはバカばっかり。そんな中、唯一、光り輝く女がいるぞ! 気づかないか⁉ 滝川クリステル!! あれは、いい女だぞ~!!」
今や小泉進次郎・衆議院議員の妻となった“滝クリ”と、女優の剛力彩芽が大のお気に入りだった。
「滝川クリステルちゃんのおふくろはシルビア・クリステルに違いないぞ。クリステルは名前だろ?」
滝クリの本名を伝えても、
「いや、シルビア・クリステルの娘だ!! オイ!! 今すぐ映画『エマニエル夫人』のDVDを買ってこい!!」
譲二さんの根底にあるのは、“人を笑わせたい”というサービス精神。9月上旬、譲二さんの妻に晩年の様子について話を聞いた。
「'15年に大腸がんの手術をして、去年の暮れには骨折したりで、最近は入退院を繰り返していたんです。でも、本人には“家に帰りたい”という強い要望があったので、今年4月からは自宅療養をしていました」
自宅で寝たきりの日も多くなったが、サービス精神だけは衰えていなかったという。
「相変わらずといいますか(笑)。リハビリを手伝いに来てくれる理学療法士や看護師に自分の自慢話というか、ホラ話を披露して笑いを取っていましたよ。彼らはだいたい20代なので安部譲二のことを知らないから、おしゃべりすることが刺激になっていたのかもしれません」
夫の最期を語る妻の声も、まるで楽しい思い出話をするかのようだった─。
9月2日、急性肺炎で亡くなる直前まで、人を笑わすことにこだわり続けていたという譲二さん。天国でも、そのユーモアあふれる弁舌を存分にふるっているに違いない。