このように、やせすぎや無月経が原因で後遺症に悩まされる有名アスリートは少なくない。
元マラソン選手で、世界選手権元日本代表の原裕美子さん(37)について、スポーツ紙の運動部記者が語る。
「彼女は食事制限による摂食障害から“クレプトマニア”と呼ばれる窃盗症に陥り、万引きで2回逮捕されて、“万引きランナー”と揶揄(やゆ)されました。現在は執行猶予つきの判決が下り、病気治療中のようです」
フィギュアスケート解説者の鈴木明子さん(34)も現役当時、摂食障害だったことを公表している。肉食に対して「脂っぽいものは太る」と拒絶反応があったという。
女性として将来を生きることも大切
レスリングでは、ロンドン五輪で金メダルに輝き、現在は日本代表コーチの小原日登美さん(38)も、子どもを授かることはできたが、現役時代は減量との戦いから無月経になっている。
「スポーツ選手として五輪を目指すことや試合に勝つことはもちろん大切ですが、女性として将来を生きることも大切。女性アスリートの無月経の問題はここ5年ほどでようやく表面化してきた問題。
私たちがさらに啓発していかなければいけないし、監督やコーチもそれを理解しなければと思っています」
と能瀬医師は力説する。
一方、村田さんは昨年、無事に1児を授かり、すくすくと育っているという。
「運がよかったと思っています」という彼女は現在、日本体育大学保健医療学部で准教授として教鞭をとるかたわら、新体操部でコーチをしている。
「選手もそうですが、われわれ指導者がこういった知識や認識を高める必要があります。
私の苦い経験を、選手にも伝えていきたい。現役のときに教えられても、私が聞く耳を持っていたかどうか疑わしいですが、ひと通り教えておけば、すぐに聞かなくても、いつかは気づくはずですから」
女性アスリートたちの活躍は美しく華々しいが、痛ましい現実があることも知る必要がありそうだ。