一般社会で“負け”ている人が勝ち札に転じる
以来40年、二丁目に通いだし、変わりゆく街を見てきた。
「今では仲通り(写真左上)は人出でにぎわい、隠れて歩いているような人はいなくなりました。仲通りの向かいにある『Campy! bar』はその象徴のようですね。値段もリーズナブルで女装からゲイ、レズビアンからノンケまですべてを受け入れるまさにCAMPな場所。
レズビアンバーだと『一(はじめ)』さんが有名よね。女性中心のレズビアンバーだけどストレート(ノンケ)やゲイの男性も入店可能よ」
ほかの場所では生きにくいと感じている人が、この街では自由に生きられる、と伏見さん。
「いわゆる一般社会では“負け”ている人、その負がこの街では勝ち札に転じます。
ゲイバーのコミュニケーションって自分のマイナスのカードを出し合うゲーム。自虐ネタをいくつ持っているかを競うようなところがありますから(笑)」
《PROFILE》
伏見憲明さん
1963年、東京都生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。評論家、小説家。同性愛問題やジェンダーなどの論客として活動。『プライベート・ゲイ・ライフ』、『魔女の息子』(第40回文藝賞受賞)など著書多数。『クィア・ジャパン』編集長も務めた。
《INFORMATION》
『Campy! bar』
住所:東京都新宿区新宿2丁目13-10武蔵野ビル1階
「ここはセクシュアリティーなんでもありのミックスバーです。値段も良心的だし、まずはキャンピーさんに行っていろいろ教えてもらうっていうのがいいかも」(伏見さん・以下同)
『Bar 軒先』
住所:東京都新宿区新宿2丁目16-11サンフタミビル101号室
「ここは昼間は不動産屋さんの軒先で夜は立ち飲みバーになる変わったお店なんです。ふらっと立ち寄って情報交換したり雰囲気を味わうのによさそう」
『A Day In The Life』
住所:東京都新宿区新宿2丁目13-16藤井ビル
伏見憲明さんが経営するお店。曜日によって店主が変わるからお店のツイッター(@noriakikoki)をチェックして自分に合うママを見つけてみては。