産んでも産まずとも何か言われる

 2人目の妻には妻の産んだ子が3人いて(本人が性別に違和を感じたら改めますが、いま把握している限りでは)全員、男の子です

2人目の妻 パートで先生をしている3児の母。レズビアンであることは拒絶されたが、孫の存在は実家に歓迎されている。 イラスト/中村キヨ
2人目の妻 パートで先生をしている3児の母。レズビアンであることは拒絶されたが、孫の存在は実家に歓迎されている。 イラスト/中村キヨ
【写真】中村さん一家の結婚記念写真(イラスト)

「産めなくて哀れ」と評された妻とは真逆で、こちらの妻は「夫もいないのに産んじゃってどうする気か」と後ろ指をさされました。息子たちが大きく育ってからは「家族でちゃんと血がつながっていないなんて子どもがかわいそう」の方向で問われます。

 シングルペアレントの方々が受けるのと同種の言葉も聞きます。例えば「父親のいない家庭って大丈夫?」とか「父親と母親がそろっていなくてかわいそう」とか。

 さて、では、父親のいない家庭って本当に大丈夫なのか、家族で血がつながっていないのは本当にかわいそうじゃないのか。

 ……ナント! 正直、わかりません

長男 小学生のころから変わらない彼女と交際し、お小遣いは原則貯金の堅実派。休日は黙々と菓子を作っている甘党。 イラスト/中村キヨ
長男 小学生のころから変わらない彼女と交際し、お小遣いは原則貯金の堅実派。休日は黙々と菓子を作っている甘党。 イラスト/中村キヨ

 男女で育児する人たちでさえ、子どもにとってよい親になれるか? 何が子どもの幸せ? と迷いながら育てるのですから、男女そろって育てれば幸福! という単純な話ではないでしょう。

 子どもが「この家に生まれたのを恨む」と言えばそれが答え。「幸せ」と言えばそれが答え。子どもの真意を無視して妻や私や世間が「大丈夫」と答えていいことではありません。子どもが育児の採点結果をくれるのは、ずっとずっと先ですから、今はわかりません。

 私にできることは妻子が人生を悔やまない家庭をつくる努力をすること。それは、今は、妻子と私のためです。これを私が「世のため人のため」とのたまうならきれい事の盛りすぎ、という感じですが、でも、今LGBTに批判的な大人が“普通の家庭”で育てた子が、実はLGBTのいずれかかもしれません。