「この本を出してくれてありがとう」
読者から感動の声が続々
発行元の出版社には、同書の感想を綴(つづ)った手紙がたくさん届いているという。
「96歳のおばあさまからこんなお手紙をいただきました。“百惠さんは昔、テレビでご活躍された方ですが、こんなに頑張っていらっしゃったんですね。お手紙を書かずにはいられないという気持ちになりました”と。私たちの込めた思いが、読者のみなさまに伝わったんだと感動しました。89歳の女性からは、“自分もキルトをやっているが、百惠さんの作品も創作姿勢も感動するものだった”という内容でした」
多くの手紙は、さまざまな感謝の気持ちがしたためられていたという。
「“この本を出してくれてありがとう”“百惠さんの幸せを分けてくれてうれしい”という出版社に向けた感謝、そして“出版を決断してくれてありがとう”という百惠さんに向けた感謝の言葉をたくさんいただきました」
読者には、意外と男性も多かったようで、
「奥さまに“照れくさいから買ってきて”と頼むダンナさまや、10冊くらい買って友人に配ったという熱烈な男性ファンもいらっしゃいます。百惠さんあての手紙は、すべて本人に渡しているので、きっと感謝しているのではないでしょうか」
気になる続編についても聞いてみると、
「そもそも、百惠さんは作品集を作るためにキルト作品を紡いできたわけではありません。彼女が還暦になるというタイミングもあって、いい感じで機が熟したとしか言いようがありません。一線から潔く身を引いた百惠さんが、改めて本を出すのはとても考えられないことであり、この奇跡のような一冊が生まれるのに30年かかっているわけですから(笑)」
長い年月をかけて生み出された結晶のようなキルトを見ていると、百惠さんの家族に対する静かで熱い思いが伝わってくる──。実物が見られる展示会は、見逃せない。