“BISTRO SMAP”を思い出させる発言
そんななか、稲垣吾郎が今月、銀座にレストランとカフェをオープンさせた。「ビストロ」でのイメージを活用したということだろう。『ノンストップ!』(フジテレビ系)のインタビューでは、そんな副業も含め「今がいちばん幸せです」と健在ぶりをアピール。
一方、かつてのイメージを活用したいのは木村も同じだ。『週刊SPA!』(扶桑社)のインタビューでは、
《今回はバラエティー番組のワンコーナーではないので、料理を作るときも“シェフがどういう思いで今に至っているのか”というメンタル面も大切にしています》
と、昔とった杵柄(きねづか)をさりげなくアピール。実際、20年以上もテレビで料理をし続けたのだから、腕前もそれなりだろう。今回のドラマは日曜劇場なので資金も潤沢であり、最高級のフレンチを再現すべく、本格的な趣向が凝らされている。パリの三ツ星レストランでも撮影を行い、そこで働く日本人シェフから大いに刺激を受けたという。
《彼のそうしたエネルギーを尾花(役名)に取り込んでいけたら》
《調理道具もプロ仕様なので、ナイフなんて本当によく切れる。だから気をつけてやらないと》
と、リアリティーを強調する木村。やはり本物志向で、食材などにも贅を尽くしていた『BISTRO SMAP』はバラエティーの料理を超えたとまで称えられた。『グランメゾン東京』の料理も実に美味しそうで、見るからに食欲をそそる。それが魅力的であればあるほど、料理するイケメンも映えるという仕掛けだ。
初回から3日後に放送された『TBS秋の新ドラマ祭』では街頭取材を受けた中年女性がこんな感想を口にしていた。
「本当のシェフに見えてしまって、素敵でした」
とまあ『BISTRO SMAP』マジックはまだまだ有効なようだが、そんな木村も11月で47歳。ドラマのメインディッシュ素材として、熟成されたと見るか、古びたと見るかは評価が分かれるところだ。
はたして昔のように、日本中の女性をうっとりさせられるだろうか。
●宝泉 薫(ほうせん・かおる)●作家・芸能評論家。テレビ、映画、ダイエットなどをテーマに執筆。近著に「平成の死」「平成『一発屋』見聞録」「文春ムック あのアイドルがなぜヌードに」などがある。