「家族というものは、ゼロから作り上げるもので、自分にとってはこんなにもクリエイティブなものはないなと思っていて。そして、自分にとっては“帰る場所”でもあるという感覚を、映画を通してより深く感じました」

 映画『最初の晩餐』で主人公を演じる染谷将太。バラバラだった家族が父の死をきっかけに、家族を見つめ直し、時間を取り戻していく物語だ。

家族とは、よくわからないもの

「これまでにも家族を描いた作品はたくさんあって、最終的に“家族とは”という明確な答えを求めようとするものが多い中、今作では“家族とは、よくわからないもの”ということを素直に表現していて。

 でも、ひとりひとり解釈の違うものを表現することは、とても難しくて。今までは“オチ”がある、起承転結の“結”があるお芝居に慣れていたので、クセでどこかに落とし込もうとしてしまうんです

 そうしないと演じている側も不安になってしまうんですが、今回はその不安を常に持ち続けることが大切だったんです

 今回に限らず役者という仕事上、「常に評価される側なので、いつも不安はあります。でも、職業柄しかたのないことなのかなと」と語る。

 不安と隣り合わせの中、最近よく考える言葉があるんだとか。

“一生懸命やる”って何だろうって思うときがあるんです。もちろん“全力でやる”ことは当たり前なのですが、ただ“頑張ります!”と意気込むこととは違うのかなと。

 僕たちがまずやらなければならないのは、作品とお客様の橋渡しをすること、見ていただくきっかけを作ることなどを見つけることが“一生懸命やる”につながるのかなと考えています