自殺を図る人もいる
暴力的な支援業者の問題に取り組む代々木総合法律事務所の林治弁護士は、
「新宿区のA社に対し、現在計3件の訴訟が起きています。20代の男性が原告のケースでは、両親が業者に払った半年間で685万円、その返還を求めています。
山下さんのケースは、地下室に8日間押し込めたことは監禁罪、連れ去られるときに身体を押さえつけたことは暴行罪にあたります。犯罪行為があったことは事実です」
A社の担当者は、
「係争中のため答えられませんが、暴力行為、拉致監禁行為はなかったと断言できます」
と、週刊女性の取材に答えるが、被告準備書面には、《原告の同意を得ることなく原告を車に乗せて原告宅から被告の施設まで移動させたことは事実であるが》《原告を〇〇寮地下で生活させ、逃げ出さないように監視していたことは事実であるが》と明記されている。
「裁判ができたのは、親が理解を示してくれたからです。家族の存在はとても重要です」
と前出・林弁護士。たいていの場合は、無理やり施設に入れられたという恨みが強く、
「親子関係が破綻して、関係を断絶した人もいます」(前出・深谷氏)、「施設を出た後も精神的なストレスからPTSDや引きこもりの悪化、自殺を図る人もいる」(悪質施設に詳しい関係者)
これまで泣き寝入りする被害者が多かったため、A社のように「長年の実績」を誇るブラック業者もいる。
「法整備が間に合っていません。何も規制されずやりたい放題です」(前出・木村さん)
行政に監督権限はない。支援の仮面をかぶったビジネス。
「両親の不安をあおり、法外な値段を取る。引きこもりの期間が長く、出口を見つけられず追い詰められている家族」(前出・林弁護士)を食い物のする業者の手口を、山下さんはこう断罪する。
「あの施設は支援施設ではありません。強制収容所。私たちは奴隷状態でした」