お笑いから遠のいた年

 今回ノミネートされた30語の中で、あえていうなら「闇営業」という言葉がお笑い関連のワードにあたるといえる。いうまでもなく、この夏、連日世間をにぎわせた、吉本興業の闇営業に関する問題に起因するものであり、これは決して、世間に笑いを届けた言葉ではない。その影響について、ある芸能記者は指摘する。

「今回の騒動によって『闇営業』というものがあるということを、初めて知ったという人が多かったはずです。そして、吉本興業のグダグダだった社長会見、現場の裏側の部分が大きくクローズアップされてしまった。お笑いを見て素直に笑えなくなったところは確実にあり、その影響は少なからずあったと思います

 闇営業問題を発端にし、お笑い界全体の流れも指摘する。

ネタ番組がないことにも影響があると思います。ということは、“一発ネタ”も流行りにくい。そして、人気のあったEXIT・兼近の過去の逮捕歴騒動も追い打ちをかけたと思います。昨年ノミネートされたひょっこりはんのように、子どもがまねするネタがないのも大きいですね。そういう意味では、子ども人気もそこそこあったTT兄弟は、やはり惜しくも落選といったところなのでしょうか」

 大賞発表の表彰式にも花を添える存在でもあるお笑い芸人。仮に『闇営業』が選ばれた場合、宮迫博之(雨上がり決死隊)や田村亮(ロンドンブーツ1号2号)が授賞式に出席して、渾身(こんしん)のギャグを見せるわけにもいかない。

 世相を表す流行語、来年はお笑い関連ワードが複数ノミネートされることに期待したい。

<取材・文/渋谷恭太郎>