10月31日未明に発生した大規模な火災で、首里城の正殿など9つの棟が焼失してから2週間近く―。
今回の火災は電気系統の原因が有力とされているものの、火元となったと見られる正殿内に、木造建築であるにもかかわらずスプリンクラーが設置されていなかったことで被害が拡大。貴重な美術工芸品も約450点が失われた可能性が高いという。
失われた技術を再現
世界遺産である以外にも沖縄戦からの復興のシンボルでもあった首里城だけに、再建を願う県民は多い。しかし、かつて首里城の再建にかかわった沖縄県琉球赤瓦漆喰施工協同組合の田端忠代表理事は「簡単なことではない」と肩を落とす。
「首里城の象徴である赤瓦は担当した瓦職人が独自に開発したものですが、すでに他界されている。その技術を継承している者もおらず、当時の原料がすでに入手できない状態。いちから研究し直さないといけないため簡単には着工できません」
約30年にわたり、漆器などの復元を手がけた前田孝允さんもこう続ける。
「まさか燃えるとは思っていないので設計図は残していない。しかし僕の技術は弟子に継承しているし、寄付金も目標額を上回る額が集まっている。また現代の技術があれば再建は不可能ではないので、悲観はしていない」
“ちばりよー(頑張れ)”と一丸になれば、復活はそう遠くないはずだ。