家出少女は「今すぐ話を聞いてくれる人」を探している
SNSで「#家出」「#家出少女」と検索すると、泊まる場所を探す少女たちが書き込んでいるのがわかる。リアルタイムでアップされると「泊めるよ」「大丈夫?」「迎えに行くよ」という言葉が、食いぎみに殺到する。
少女たちに群がる彼らが『泊め男(とめお)』と呼ばれる男たちだ。親への不満、学校の悩みの書き込みなどに即座に反応する、下心丸出しの男たち。
前出・橘代表は、
「子どもたちは今すぐに話を聞いてくれる人を探している。すぐ答えてくれる人に対し、自分を気にかけてくれる、と錯覚してしまうんです」
家族心理学が専門の目白大学の小野寺敦子教授は、
「家出までするケースは、家庭に何らかの問題があるかも」
と前置きし、娘と母親の関係性に注目する。
「中学生は、親から精神的に自立したいという願望が強まる年齢です。“親がうざい”という気持ちが強まる。母親に悪い印象を持っていると、娘は母親を拒絶することがある。
今回の大阪のケースの問題点は、家にも学校にも居場所がなかったというのがいちばんの問題だと思います。精神的な居場所、身体的な居場所、それが家にはなかったのではないでしょうか」
「寂しい大人だ」と思うと共感してしまう
その結果、ここではないどこかに自分の居場所を求めてしまう少女たち。これまで多くの家出少女と接してきた前出・橘代表は、少女たちのこんな本音を聞いたことがある。
「彼女たちは言うんです。(泊め男は)気持ち悪いし嫌だけど、自分と同じ雰囲気がするって。寂しい大人だって思うと共感してしまうそうです」
彼らの多くは独身でひとり暮らし。お金はあっても友達はいない、同年代の女性からも相手にされない。そんな寂しさから居場所のない少女たちに声をかける。
わいせつ目的ばかりではないという。
「困っている子を助けてあげただけと、正義感を持っている人もいるそうです。悪いことをしていると思っていない」
と前出・橘代表はあきれる。
男たちの少女への接し方は優しく、少女たちも彼らに優しく接する。そのため『泊め男』をやめられないし、少女たちも『泊め男』を頼るほかない。
家に帰らなくても捜索願を出さない親さえもいる中、少女と大人の歪んだ連鎖が成立し続けてしまう。