愛子さまは父方が天皇の血筋なので男系女子ですが、もし愛子さまが即位されてお子さんが生まれた場合は、男子でも女子でも女系で、そのお子さんが皇位を継承した場合『女系天皇』となります。それは、眞子さまや佳子さまのお子さんも同様です」(皇室ジャーナリスト)

 一方で、女性・女系天皇に反対する派閥が提唱するのは、戦後間もない'47年に皇籍離脱した東久邇家や竹田家などの11宮家を指す『旧宮家』の復帰。現在は民間人として生活する旧宮家の人々は父方をさかのぼれば、天皇陛下にたどりつく家柄。これらの宮家が皇室に戻り、男系の血筋を増やして皇統を維持させることが目的だ。

2000年近く続く伝統は、やはり重い

 皇室にいらっしゃる方々の人数は減少傾向であるにもかかわらず、なぜ政府や一部団体は、男系男子に固執しているのだろうか。

安倍首相は、小泉内閣が皇室典範を改正して女性・女系天皇を容認しようとしていた'05年から一貫して男系を維持すべきというスタンスです。国民民主党は公約で男系の女性天皇は容認すべきとしていますが、女系天皇については“慎重に議論を進める”にとどめています。

 皇室の長い歴史の中で、男系の女性天皇は8方いますが、女系の天皇はひとりもいないので、男系の伝統は非常に重いことです

 そう解説するのは、宮内庁OBで皇室ジャーナリストの山下晋司さん。世界で唯一、2000年近くも男系で受け継がれてきた天皇の伝統を「簡単に覆してはいけない」というのが政府の考えのよう。

「愛子内親王殿下は男系の女性ですから、皇位に就かれても伝統に反することにはなりませんが、いちばんの問題はお子さまの身分です。皇族になるのかどうか、また、皇位継承権を持つのかどうか、ということです。

 そのお子さまが天皇になれば、男性か女性かにかかわらず、女系天皇の誕生となります。将来の女系天皇につながる可能性があるため、男系維持派は男系の女性天皇も容認できないのでしょう」(山下さん)

社会の変容に合わせ、女性・女系天皇容認を

 公務の担い手を確保するため、女性皇族が結婚後も皇室を離れない『女性宮家』という制度も、その配偶者や子どもが皇位継承権を持つのかどうかの議論になる可能性が高い。その子どもが天皇になれば、男女関係なく女系天皇になってしまうことから、男系男子維持派は『女性宮家』創設にも反対の姿勢だ。

 一方で、女性・女系天皇を容認すべきと話すのは、象徴天皇制に詳しい名古屋大学大学院の准教授・河西秀哉さん。

「女性天皇と女系天皇を容認する理由は2つあります。現代では、女性が社会進出する時代へと変容している中、象徴天皇の公務も変化しており、皇位継承権を男性に限る必要はないと考えるからです。