お弁当のおかずから、家庭の食卓にもすっかりおなじみの「冷凍食品」。最近「おいしくなった!」という声も多い、そんな冷凍食品についてのアレコレを冷凍食品ジャーナリスト・山本純子さんに聞きました!
冷凍100年の歴史、冷凍食品はプロの味へ
――ここ数年、ぐっとおいしくなったよね~! と話題にのぼる冷凍食品。どうしてこんなにおいしくなったと言われるのでしょうか?
日本の“冷凍の歴史”は'20年で100年を迎えます。実は急速凍結で食品を保存するという理論自体は、この100年ほぼ変わっていません。
最近おいしくなったと言われる理由を考えてみると、(1)凍結機や解凍する機械の進化、(2)企業の開発努力があげられます。工場で使用される急速凍結機は、大変高額なので、更新されるのは20〜30年ほどのサイクルになります。
日本の冷凍(食品)業界が第二次大戦後、本格的に始まってから50年が経過しましたが、この間に各社で機械のリニューアルが進み、おそらく今から10年前には、ほぼすべてが近代的な凍結装置になり、よりおいしい冷凍食品ができるようになったとみられます。また、解凍に使うご自宅の電子レンジなどの機械の進化も、おいしくなった理由のひとつに挙げられるかもしれません。
そして『焼きおにぎり』『チャーハン』などの画期的なヒット商品が生まれたことも、注目されファンが増えた理由だと思います。もちろんヒット商品の背景には、プロの味やテクニックを求めて徹底研究し、商品に反映させてきた、というメーカー各社の企業努力があります。
――その反面、いまだに「栄養や味が落ちる」「保存料が気になる」「手抜きといわれる」との声もあるようですね。
同じ旬の時期の生鮮のものと比較すると、多少、ビタミンC量は落ちますがその差はわずか。ところが、夏場の生鮮ホウレンソウと冷凍ホウレンソウのビタミンC量を比較すると、冷凍の方がビタミンC量が豊富、という実験結果が出ます。冷凍食品(野菜)は約1年間の賞味期限が設定されています。“季節が変わっても旬”の栄養を保ち続けているのです。
枝豆は収穫するとどんどん鮮度、糖度が落ちていきますが、最も多く輸入している台湾の例でいえば、冷凍枝豆の原料になる枝豆は、刈り取り機で収穫してから3時間程度で工場に運ばれて、新鮮なまま加工されています。