おいしさの秘訣は“急速冷凍”
また、冷凍食品はマイナス18度以下で凍結した状態を保ち、保管・流通しますので、その温度帯では細菌は活動することができず、腐りません。
「腐らないものに保存料を使用する必要がない」という食品が冷凍食品です。
パッケージの裏面を見ると、原材料が書いてありますよね。使用している材料はすべて記載しないと食品表示法違反になるので保存料などを使っていれば表示ですべてわかります。例えば冷凍ホウレンソウのパッケージの裏面表示を見てください。「原材料 ホウレンソウ」のみです。
『凍る』という現象は<食品の中の水分が氷になる>ということですが、その氷のでき方で食品の質は変わります。急速凍結した場合は細かな氷の結晶ができて凍ります。つまり、食品の細胞、組織を壊さない凍り方をします。組織が壊れない、つまり栄養と味が保たれる。これが、「おいしい理由」です。
急速凍結機は日々進化していて、最新の工場では「うどん」が10分もあればカチンコチンになります。麺のおいしさを生むコシは、麺の外側と内側の水分量の差(例:外側80%、中側50%)が大切ですが、麺がのびてしまう現象は、その差がなくなった状態です。そうなると、ふにゃふにゃでおいしくありません。
冷凍うどんは、その差がなくならないうちに急速凍結していますので、釜揚げのおいしさを保存できます。スパゲティなども同様でアルデンテの状態を保ちます。冷凍めんに限らず、上手に解凍すれば、“おいしさを再現”できる、というのが冷凍食品の優れたメリットなのです。
――「自然解凍OK」と書いてあるものと、それ以外の違いとは何ですか?
『自然解凍』はお弁当用などに向けて開発されてきた1999年ごろの新技術で、日本水産がきんぴらやひじきなど、カップ入りのお惣菜を自然解凍できるとしたのがはじまりでした。
『自然解凍OK』の表示には、クリアするべき厳しい業界自主基準が定められており、自然解凍だけで安全に食べられるよう努めています。自然解凍対応商品が増えたことで、冷凍送品は自然解凍できるんだと誤解している方もいらっしゃるようですが、『自然解凍OK』と表示されていない冷凍食品はすべて、「加熱してから食べてください」と書かれています。
ちなみに、冷凍食品にはほかのものを冷やしたり、冷たさをキープする能力はなく、保冷剤がわりにはなりませんのでご注意を!