木下氏がジャガーを結婚相手に選んだ本当の理由

 それにしても、医師である自負が強く、妻ではない女性に出産を頼むほど子どもを医師にしたいとこだわるのならば、なぜ木下氏は女性医師と結婚しないのかと思う人もいるでしょう。女性の医師であれば、医師になったという“実績”を持つわけですから、申し分ないパートナーなはずです。

「縁がなかった」と言ってしまえばそれまでですが、「自分と相手、どちらが上かにこだわる」性質の人にとっては、女医さんはいいパートナーではないと思うのです。だって、自分と同じ資格や同等の経済力を持っている女性では威張れないじゃないですか。木下氏が自分が優位でいることに重きを置いているタイプだとしたら、医学部や医師の世界を知らない、かつ年上のジャガーになら存分に威張れるでしょう。結婚することで有名人の夫となり、芸能人になれるわけですから、ジャガーは“最高の妻”ではないでしょうか。

 レスラーとして鳴らしたジャガーが、木下氏に威張られるはずはないと思う人もいるかもしれません。しかし、彼女の過酷な生育環境を心理学にあてはめて考えると、「相手のいいなりになりやすい」性質を持っているとも言えるのです。

『解決!ナイナイアンサー』(日本テレビ系)によると、ジャガーは四姉妹の末っ子として生まれます。お父さんは腕のいい職人さんでしたが、お酒を飲んでしまうので生活はかなり苦しかったそう。

 お父さんは酔ってはお母さんや子どもに暴力をふるい、時には刃物を持ち出して切りつけることもあったと言います。耐えきれなくなったお母さんは、幼いジャガーだけ連れて家出。置き去りにされたお姉さんたちは、それぞれ違う施設に連れていかれて、家族は生き別れになります。お母さんは居酒屋で仕事をはじめ、10歳年下の男性と再婚しますが、名字が変わったことでジャガーはいじめられたそうです。高校に進学することも考えましたが、家計を助けるため、中学を出てプロレスの道に入ります。

 大人の生きづらさの根本的な原因が親との関係にあるとして、カウンセリングを行うスーザン・フォワード氏のベストセラー『毒になる親 一生苦しむ子ども』(講談社文庫)によると、「アル中の親を持つ子どもの多くは、普通なら受け入れられないことでも受け入れる許容量を発達させている」とあります。また両親が離婚した場合、「家族に何かネガティブな出来事が起きると、子どもはほぼ必ずと言っていいほど、それが自分のせいではないかと感じる」とも述べており、これらのことから考えると、ジャガーが尋常でない我慢強さと罪悪感を持っていることが推測されます。

 この我慢強さや罪悪感がプラスに働けば、厳しいプロレス界で成功することもできるのでしょうが、マイナスに働くと、目の前の男がヤバいことに気づかないで、認められるためにひたすら言いなりになってしまうこともあるでしょう。

 木下氏の不倫騒動の際、ジャガーは「主人を信じている」と鬼嫁とは思えないコメントを出しています。医師を目指す息子の大維志くんが、今年、中学受験に挑戦した際は「受験の先輩として、的確なアドバイスをしてくれる。尊敬できる主人です」とこれまた昭和妻のようなしおらしさを見せていました。その気持ちが心から感じていることなのか「医師が至上」という序列を叩き込まれた結果、夫を敬うべきと思いこまされているのか。ジャガーは一度考えてみてもいいかもしれません。


仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。