結果を出して恩返しを
陸上人生で、もうひとつ激しく悩んだことがある。
「長男ですから、家業を継ぐことはずっと選択肢にあって。大学2年までは、すごく悩みました」
実家は『服部総業』という建設会社で、祖父・龍一さんが創業。父・好位さんが社長を務め従業員を30人以上、抱えている。
「最終的に僕からは親に“走りたい”とは言えなかった。大学2年時の箱根駅伝で優勝し、帰省したときに、父親のほうから“卒業後も走ればいいんじゃないか”と言ってもらって。本当にありがたかったです」
次男の弾馬さんも実業団入り。4歳下の三男の風馬さんも豊川高校で全国高校駅伝を走った有名選手。将来を期待されていたが、高校卒業後は家に入った。現在はとび職として汗を流しているという。
「僕には一切言わなかった。家に入ると聞いたときは、複雑というか、逆に背負わせてしまったな、と。風馬には感謝しきれません」
結果を出すことで恩返しをしなくちゃいけない──。その思いがますます強まった。
爽やかすぎるオリンピアンは、どんな質問にも気さくに答えてくれる。趣味はサッカー観戦で、好きな食べ物はラーメン。
「東京にマッサージを受けにいくときには、グルメサイトでかなり調べます。だいたい3軒くらいは寄って帰ってきますね(笑)。あんまり食事制限とかはないので、普段から好きなものを食べています」
好きな芸能人は、吉瀬美智子。では、好きな女性のタイプは?
「接しやすいのは年下なんですが、惹かれるのはどちらかというと年上の方。落ち着いている方はいいなぁと思います。あと、僕は女性の爪をけっこう見てしまいますね(笑)」
きれいにネイルをしている子がいいってこと?
「あ、そういうことではなくて。言葉ではうまく言えないんですが、好きな形みたいなものがあって。爪フェチ? それはあると思いますね(笑)」
先月、26歳に。同級生が結婚し始めている中、陸上人生を伴侶に支えてもらいたいという思いは?
「結婚は全然考えてなくて。子どもはすごく欲しいんですけど、今は完全に五輪が目標。走ることがすべて、です。それに東京五輪が終わっても、パリ五輪をもちろん目指すので。パリ五輪が終わると、ちょうど30歳。そのあたりで決められたらいいなとは思いますが、まずは東京!
自分自身がやってきたことを最大限、発揮してメダル獲得に向けて精いっぱい頑張りたい。本当に苦しいとき、沿道の声援に背中を押してもらっています。札幌になりましたけど、よりたくさんの人に応援してもらって走り、結果として恩返しをしたいと思っています!」
【PROFILE】
トヨタ自動車 陸上長距離部(東洋大OB)服部勇馬選手 ◎はっとりゆうま。新潟県十日町市出身。仙台育英高校から東洋大学に進学。箱根駅伝では、1年時9区3位(総合2位)、2年時は2区3位(総合優勝)、3年時は2区区間賞(総合3位)、4年時は2年連続となる2区区間賞(総合2位)