いま世間のおじさんたちをザワつかせているのが、テレビ東京の鷲見玲奈アナと、同局の先輩・増田和也アナの不倫騒動だ。増田アナは'12年にテレビ局入社同期かつ同学年のNHK・廣瀬智美アナと結婚。'15年と'18年に男児が生まれており、ツイッターでもイクメンぶりをオープンにしていた(現在は削除済み)。

 『週刊文春』(2020年1月2・9号)の報道によると、不倫が行われたとされるのは'17年の夏のこと。

 舞台は、“高級ラウンジの個室VIPルーム”といった芸能人の密会でありがちな謎の小部屋……などではなく、庶民的な“カラオケBOX”。なんとそこで“一線を越えてしまった”のだという。庶民感覚でもありえない場所である。

 しかも、そこには後輩アナが2人同席していたそうで、証拠動画も残っているのだとか。ちょっとわけがわからない。それが今夏になって何者かから「局に“通報”が入った」ことで発覚。当の本人たちは事情聴取に否定を示したそうなのだが、増田アナは不自然なかたちで営業部に異動、鷲見アナもレギュラー番組の収録を連続で欠席している。

iPhoneから動画が流出か……?

 この話がひとたび世にでるや否や、各媒体がこぞって続報を打ったわけだが、特筆すべきはこの件を扱うネットニュースの『見出し』である。

《鷲見玲奈アナ「カラオケBOXで先輩と…」 「不倫騒動」でテレ東激震》(『文春オンライン』)

《鷲見玲奈アナ 不倫疑惑の代償…CM降板、出演番組も白紙に》(『女性自身』)

 どの媒体も一様に、タイトルの頭にくるのは「鷲見玲奈アナ」の名前であり、続くのは「同僚と不倫」といったような書き方だった。互いに著名なアナウンサーで、どちらかといえば増田のほうが先輩なのだが、記事の主役としてフィーチャーされているのは完全に鷲見アナのほう。 

 このような『見出し』になったのはひとえに、「鷲見アナの不倫と打ち出したほうが読者のヒキがいい」の一言に尽きるからだと思う。知的かつグラマラスなスタイルと美貌を持ち合わせた“オヤジ殺し”、そんな鷲見アナが不倫していたことを前面に押し出したほうがアクセスを稼げるということなのかもしれない。確かに「『和風総本家』レギュラーでおなじみ 増田和也アナが同僚女子アナと不倫!!」じゃインパクトに欠けるというのもなんとなく、わかる。

 ただ、その取り上げられ方のせいなのか、今までの不倫騒動に比べて、明らかに“妻子のいる増田アナ”を責めるようなネットのコメントが少なかったのも事実。過去にもアナウンサーの不倫は度々報じられてきたが、“既婚者側の罪”がここまで咎められなかった不倫報道はこれまで例がなかったのではないか。そもそも不倫の決定的証拠があったわけでもないし、何も言いようがないというのもあるのだけれど。

 しかし、両名をネットで検索すると、増田アナがほぼ無風の一方で「鷲見アナのiPhoneがハッキングされて例の動画がネット上に流出!?」といった、なかなか下品でどうでもいい考察をこと細かく記しているサイトはわんさか出てくる。その時間と熱量をもっとほかのことに活かしたらいいのでは? というほど、みな鷲見アナに真剣なのだ。“一線を越えた”の“一線”とはどのラインをさすのか──。このミステリーを解き明かすことが世のおじさんたちにとって最大の使命なのかもしれない。

 ここ数年、脈々と流れてきた『不倫ニュースは叩かれる』という風潮に「待った!」をかけたのは、彼女の“強烈なヒキの強さ”なのであった。

〈皿乃まる美・コラムニスト〉