(3)田中みな実
肩書ボーダレスの時代
放送局の女子アナがフリーになることは昔からありますが、フリー転身後もアナウンサーの仕事をすることが当たり前と思われてきました。しかし、もうそういう時代は終わったのかもしれません。
元TBSアナウンサー・田中みな実はぶりっ子キャラとして人気を博し、2014年フリーに。独立後はぶりっ子キャラとともにバラエティーでの“嫌われ役”や“少しメンタル不安定キャラ”で売っていましたが、2019年は美容家顔負けの知識を披露して女性誌に引っ張りだこになり、女優デビューも果たしています。12月に発売したセクシーショットを含めた初写真集『Sincerely yours…』(宝島社)は初週で10.4万部を売り上げ、23日付オリコン週間BOOKランキング1位を獲得するなど絶好調です。
ぶりっ子キャラは、男性ウケはいいかもしれませんが女性には好かれない、ひいては自分のアナウンサー寿命を短くしてしまうという意味でリスクがあります。が、“嫌われキャラ”がテレビに不可欠なことを考えると、本人に演じ切る強さがあれば、今後も安泰と言えるのではないでしょうか。
女性芸能人の大ブレイクといえば、かつて安室奈美恵さんに密着した番組で、安室さんの育ての親である事務所社長がこんな話をしていたのを思い出します。
女性芸能人はブレイクすると、その分だけ「売れなくなったらどうしよう」と不安を背負い込むことがある。その結果、結婚して引退したいと言い出す。だから、付き人を増やして「キミを見守ってるよ、不安になることはないよ」とアピールする必要がある。それに対し、男性タレントは売れるとひたすら調子に乗り、結婚したいとはまず言い出さない。車や家など目に見えるご褒美を与えると、モチベーションがアップする。
社長の予言が当たったのか、安室さんは引退こそしないものの、人気絶頂時に結婚し、出産のために一時、芸能界を離れます。
結婚願望があることを公言している田中も、いきなり結婚・引退と言い出さないとは限りません。彼女は来年1月5日に『サンデー・ジャポン』(TBS系)で、前澤友作氏と対談することが決まっています。ここから恋が生まれないとは誰も言い切れないのではないでしょうか。
令和の芸能界は前例にこだわらず、“やったもん勝ち”の傾向が強くなるように思います。芸能人のみなさん、お体に気を付けて来年も私たちを楽しませてください。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に答えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」。