ホントに全部、本物なの?
実際、警察の調べでは小川さん宅には300万円ほどの現金はあったが、ジュラルミンケースには札束のいちばん上の1枚目だけが本物の10万円しか入っていなかった。
2016年に開かれた中学校の同窓会に、小川さんはやはりケース入りの札束を持参して参加していた。
「1次会、2次会の総額およそ30万円をすべておごってくれました。そのときは金持ちなんだなと思いましたよ。でもいま考えると、昔はまったく目立たない存在だったのに、同窓会へ呼ばれたことがうれしくて、見栄を張って払ってくれたのかもしれません」(同級生)
2次会が開かれた飲食店の店主は、
「独身だし、退職金もあっただろうから、決して払えない額ではないですよね。支払いはケースのお金ではなくて、財布から出していました。でも普通、大金を自慢したり自ら言いふらしたりする人はいませんよね。百害あって一利なしですよ」
と、小川さんが現金を見せびらかしていたことに疑問を持っていたようだ。
「同級生の1人と私が、“ホントに全部、本物の金なの?”と底まで入っているかどうか調べようとしたら、本人が慌てて“それはやめてくれ!”と言って制止したんです。やっぱり本物ではないのかなと思いました」(同・店主)
そんな小川さんの“冗談”を容疑者たちは聞き、殺人まで犯してしまった。彼らは、小川さんのことをどこまで把握していたのか─。