人外のキャラクターを演じてみたい
そのミュージカル『レ・ミゼラブル』のオーディションに見事合格。ミュージカル俳優の道を邁進する。
「最初は歌うことしか知らなかったから、苦労しました。ミュージカルでは“歌うな、語れ”と言われるんですね。でも大学出たての僕は“何じゃそりゃ?”って思ってましたから(笑)。でも演じることの楽しさを感じるようになって、“ハートが大事なんだな”とわかるようになりました。
歌ひとつにしても、ハートが乗っていなければ“歌うな”と言われてしまうけれど、ハートが乗っていれば劇中の歌として伝えられるものがあるんだな、と。その難しさを追求し続けていきたい。
もっと歳月をかけて努力すれば、もっと深いものに変わっていくんじゃないかと思いますし。寝かせたワインみたいにできればいいですね。熟成されて、香りの高い歌にしていけたら」
『レ・ミゼラブル』以降もフランス人、特に革命にかかわる人物の役が続き、“革命家俳優”の異名をとった上原さん。
「僕の日本人役はレアかもしれません(笑)。でも僕は吸血鬼や死神など、人外のキャラクターを演じたいってずっと思ってきたので、今回の宇宙人役は“よっしゃー!”って気合の入るところがあるんです。“いい作品だなぁ”とすごく思うので、届けたい思いが何なのかをしっかりつかんで臨みたいですね。冷えた身体を温めるつもりで見にきてくださったら、いつもとは違うしっとりとした感動に出会えると思います!」
うえはら・りお 1986年10月29日、埼玉県生まれ。東京藝術大学音楽学部声楽科を卒業後、2011年に『レ・ミゼラブル』のアンジョルラス役でミュージカルデビュー。以後、『ロミオ&ジュリエット』ティボルト、『ミス・サイゴン』ジョン、『1789 バスティーユの恋人たち』ダントン、『スカーレット・ピンパーネル』ロベスピエール、『ピアフ』ブルーノなどに出演。2019年の『レ・ミゼラブル』ではジャベール役に挑戦、高い評価を得た。コンサートも精力的に行っている。今後は2020年5月より『ミス・サイゴン』に出演予定。
ミュージカル『シャボン玉とんだ宇宙(ソラ)までとんだ』
筒井広志の小説『アルファ・ケンタウリからの客』をミュージカル化、1988年に音楽座の旗揚げ公演として初演された。作曲家を志す青年・悠介(井上芳雄)とスリとして育った孤児・佳代(咲妃みゆ)との運命の恋を、宇宙からの来訪者らを交えて描き出す。音楽座出身者も多数出演。東京公演はシアタークリエにて、2月2日まで上演中。以後、2月7日~9日 福岡市民会館(問い合わせ:博多座電話予約センター)、2月12日~15日 大阪・新歌舞伎座(問い合わせ:新歌舞伎座)にて公演。詳しい情報は公式HP(https://www.tohostage.com/shabondama/)で確認できる。
取材・文/若林ゆり ヘアメイク/谷口祐人