肝心なことに対しては、口を割らないのも中居の手だ。

 SMAPの不仲説が出た当時の報道については「なんで知っているんだろう」と笑わせ「不仲でいいんじゃないですかね」「信用する人は信用していいし」とけむに巻いた。

 2016年11月にテレビ番組『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)で生謝罪したことについては「覚えていない」と前置きし、当時のコメントについて「あれ以上でもあれ以下でもない」と、これまた何か言っているようで何も言っていないロジックを駆使している。まるで、小泉進次郎環境相並みだ。

悪のりするメディアにピシャリ

 中居が唯一、言いよどんだ場面があった。『新しい地図』の3人の退所がメディア出演の機会を奪われたことに対し、中居は現在のレギュラー番組が継続することについて聞かれたシーンだ。

 両者の違いを聞かれた中居は「ん?」「違い?」と言い迷った後、「まあ(番組が)終わることがあるんじゃないですか」と一般論に落とし込んだ。

 SMAPの楽曲『世界に一つだけの花』の作者、槇原敬之(50)について話が及んだ際は、「やってはいけないことはやってはいけない、このひとつに限るんじゃないですか」と、またしても言葉を駆使しての一般論でかわした。

 テレビ司会者やコメンテーターらは、こぞってこの会見を「成功」とたたえた。それは否定できないが、成功したのは「会見」ではなく、「中居の対応」である。

 ところどころ、中居による記者いじりもあり、笑いの絶えない会見はおしまいまで盛り上がり、メディアもハイテンションが続いた。

 それに冷や水を浴びせかけたのも中居だ。

 記者が「(取材陣と)記念撮影やりませんか?」と、卓球の福原愛選手が引退会見で「記念写真を撮りませんか」と、マスコミとの撮影を言い出したことをたとえに、中居に記念写真を持ちかけたのだ。

 福原選手の場合、自分から申し出たもので許されるとしても、メディア側から記念写真を申し出るなんて、図々しいというか、明かに悪のりだ。

 中居は「その思いやりはないです!まったくない!」とピシャリ。

 最後まで中居が株をあげ、それをマスコミがアシストした会見だった。

<取材・文/薮入うらら>