「ここ赤くなっているけど、どうしたの?」

 さらに、こんな珍客も。

「今日の方、お断りでお願いします」

 お見合いを終えた良美さん(33歳、仮名)から、LINEが入ってきました。お見合いが14時からで、お断りのメールが来たのが15時。1時間お見合いをしていたとしても即行のお断りだったので、これは何かあったに違いないと、LINEを読んですぐに電話を入れてみました。

 電話に出た良美さんは、憤慨したように言いました。

「妙に女性慣れしている印象で、とても失礼な方でした。お見合いが始まったときから、すでにタメ口で、着席するなり、『有吉(仮名)さん、下の名前はなんていうの?』って聞いてきたんですよ。私が、答えに躊躇(ちゅうちょ)していると、『あ、お見合いの席で、下の名前を聞いちゃいけないんだったね。それにしても堅苦しいルールだよなあ』と、おっしゃって」

 相談所のお見合いでは、お見合いの前にお相手に伝えるのは名字のみ(もしくは下の名前のみ)。なぜかと言えば、SNSの発達している今の時代は、フルネームがわかるとネット検索をして、本人の情報や会社などがわかってしまうことがあるから。フルネームを明かすのは、お見合い後に交際に入ってからなのです。

 さらに、お見合いが進んでいくと、とんでもない行動に出てきたと言うのです。

「『ここ、赤くなっているけど、どうしたの?』と、私の腕をさーっと触ってきたんですよ。もうびっくりしました」

 以前、「きれいな髪だね。僕はこういうサラサラした髪が好きなんですよ」と言って、お見合いの別れ際に、男性から髪をなでられた会員女性もいましたが、まだ親しくもないうちに女性の身体に触るのはご法度。触っている当人たちは女慣れしているのをアピールしたいのでしょうが、逆に、これはマイナスな行為です。

 人には、“パーソナルスペース”という、心理的縄張りがあります。このパーソナルスペースは、相手にどのくらい心を許しているかで、その距離が変わってきます。まだ心を許していない異性が肌や髪の毛に触れてきたら、違和感を覚えて不愉快になるだけです。

 一方で、1時間楽しく会話できた相手から、“ぜひまたお会いしましょう”と別れ際に握手を求められたら、それは好感度アップにつながります。これは、“楽しく会話ができた”ということがポイントになっています。また、握手というのは腕や髪をなでるというのとは違う、挨拶につながるスキンシップの形だからです。

 それまで全く面識のなかった他人同士が、“結婚相手を探す”という目的で出会うのがお見合いです。服装から始まり、会話、行動に至るまでまで、相手を思いやって、真摯に向き合ってほしいなと思います。


鎌田れい(かまた・れい)◎婚活ライター・仲人 雑誌や書籍などでライターとして活躍していた経験から、婚活事業に興味を持つ。生涯未婚率の低下と少子化の防止をテーマに、婚活ナビ・恋愛指南・結婚相談など幅広く活躍中。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイト『最短結婚ナビ』http://www.saitankekkon.jp/