小澤先生が考える
最期の瞬間まで“後悔しない”生き方

■自分で自分を否定しない

 反省して改善するのではなく、やみくもな自己否定は自分の将来を奪ってしまうことと同じ! 最期の瞬間まで幸せでいるため、すべてを完璧にできない不完全な自分を、そして不完全な他人を認め、ゆるし合いましょう。

■いくつになっても新しい一歩は踏み出せる

 つらく苦しい出来事にも意味があった……そうした経験を踏まえ、自分は本当に何をすべきか考えてみましょう。人はいくつになっても、この世を去る最期の瞬間まで自分を変え、本当の幸せに気づくことができるのです。

■家族や大切な人に愛情を示し、一期一会に感謝

 ひとりで何でもできるとき、人はわがままなもの。しかし元気なときの世界観は、年を取ったり病を得ると通じません。日ごろから大事な人、出会った人に感謝を伝え、どんなことをしたら喜ぶかを考えて、実践しましょう。

■今この瞬間を楽しみ、今日1日を大切に過ごす

 死を前にして後悔しない人はいません。だからこそ今日1日、その瞬間を大切に。毎日の生活をなんとなく過ごすのではなく、「どれを選ぶと楽しいかな?」と考えれば、きっと、あなたにとって大事なものが見えてきます。

看取る側の極意

■どんな人でも柔和にさせる「ふるさと」の話

 気難しく、話をしない人には「ふるさとはどちらですか?」と質問してみましょう。すると不思議なことに緊張がふわっと解け、会話が始まるそう。各地の話をするために、日ごろからさまざまな知識を吸収しておきましょう!

■相手の言葉を「反復」して話を聴く

「早くお迎えが来てほしい」という方に、どう返していいのか困った経験はありませんか? ここは「早くお迎えが来てほしいと思っているのね?」と反復してください。否定せずに話を聴くと、やがて心を開いてくれます。


ホスピス医 小澤竹俊先生
東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療、ホスピス病棟長を経て、2006年「めぐみ在宅クリニック」を開院。2015年「一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会」を設立。著書に『「死ぬとき幸福な人」に共通する7つのこと』『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』(ともにアスコム)など多数。
一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会●https://endoflifecare.or.jp

(取材・文/成田 全)