《オーディションの台本では、電王はイマジン(怪人)に憑依された多重人格者で、途中で人格が変わるという内容でした。それを説明なくみなさんに演技してもらうんですが、台本の意図を正しく理解してふくらませて演じたのが佐藤健君だけでした》
その中性的なルックスも相まって、一躍、アイドル的な人気を獲得することに。しかし、大人の色気を漂わせる現在の片鱗も垣間見えたようだ。
「演じていたキャラクターは声も高く弱々しかったけど、素顔の彼は声も低く、当時から凛としていて大人の雰囲気がありましたね」(前出・テレビ朝日関係者)
ファンを大切にする精神は『電王』のころから
『恋つづ』ではサービス精神のよさが証明されたが、『仮面ライダー』への出演が大きく影響しているのでは? とテレビ誌編集者は分析する。
「特撮作品は、子ども向けイベントの出演もセットで行うこともあり、ファン向けイベントの大切さは実感していたようです。当時からネット上でも積極的に発信をしていて、『電王』放送時から1年半ほどはブログを毎日更新していました。ファンの支えがあるからこそ自分があるというのをすごくわかっていて、演技以外でも魅力を発信できることはするべきという意識は当時から高かったですね。その精神が公式LINEやYouTube、SUGARなどのファンサービスにつながっていると思います」
’10年には大河ドラマ『龍馬伝』で岡田以蔵を熱演。時代劇初挑戦ながら、これまでの以蔵のイメージを覆す繊細な演技が高く評価された。取材経験もあるフリーライターの田幸和歌子さんも絶賛する。
「“人斬り以蔵”という異名があるだけに、これまでの作品では怖さや狂気さが強調されがちでしたが、実は司馬遼太郎さんの描く世界観にいちばん近い演技だと原作ファンから高く支持されたのは佐藤さんが演じた以蔵なんです。どこか儚げで、切なさを感じさせる演技はお見事でした」