海外の中学生と比べて日本の中学生に足りないものはなんでしょうか。
社会の仕組みや歴史の教育。それからディベート(討論)というのは(海外に比べて)やりませんよね。学校の歴史の勉強ってだいたい明治維新くらいまでしかやらないけど、その後が大事なんです。縄文式土器とか平安時代、鎌倉幕府、江戸幕府成立とかは丁寧に教えても、第一次世界大戦や太平洋戦争はほとんど教えない。高校受験も明治維新までは出るけど、日清戦争や日露戦争はあんまり出ない。
今の政治のよしあしは国民が決めるもの。国民ひとりひとりが、日本がどうしたらいい国になるかという意識を持って、誰の言うことがいちばん正しいか見極めて選挙に行かないといけません。選挙に行かないとか誰が政治家でもいいと思い始めると、国はどんどんおかしくなって、最後に被害をこうむるのは国民なんです。中学でそういうことを教える国と教えない国ではどんどん差がついていく。中学生で足りないものというよりも中学で何を議論するか。
例えば「憲法は改正したほうがいい」とか、「原子力発電所はやめたほうがいい」とか。ディベートといって討論することは必要なんです。いろんな考え方があることを学ぶことはとても大事なことです。自分の考えの間違いを知ることも大切。日本の学校教育ではディベートやディスカッション(議論)をする場所がほとんどない。
それと、日本は宗教学を教えていない。先生もわからないのかもしれないけど、12月24日、25日にはキリスト教徒でもないのにクリスマスを祝って、それからたった1週間でお寺で除夜の鐘をつき、神社に行って初詣をする。これは外国では信じられないこと。世界は宗教で動いています。宗教が活動の基準になっている国が多いということをきちんと知っておいたほうがいい。他国の人と話すときに必ず役に立ちますよ。
石破さんはどうして政治家になろうと思ったんですか?
父親が政治家だったからだよ(※石破二朗さん 鈴木善幸内閣において自治大臣などを務めた)。田中角栄さんという小学校しか出ていないのに総理大臣になった人がいるのを知っていますか? 田中角栄さんは新潟出身で国民に人気の総理大臣でした。田中角栄さんと父は仲のいい友達でした。
私の父は建設省というお役所の役人から鳥取県知事になって国会議員になって大臣になって、私が社会人3年目のときに73歳で死にました。そのときに田中角栄さんに「お父さんが死んだんだから君が政治家になりなさい」と言われて政治家になったのです。