“アサヒノマスク”の製造元は、大阪府泉大津市で繊維製品の製造と販売を事業とする、創業103年の『大津毛織』。普段は毛布やタオルケット、敷きパッドなどの寝具を主に扱っている。

「泉大津市は同様の繊維製品を扱う企業が多い“繊維のまち”。新型コロナウイルスの影響でマスクが品薄になっている今、市と商工会が立ち上げたのが『泉大津マスクプロジェクト』なのです。市内の繊維に関わる7つの企業がそれぞれ、独自のマスクを開発、製造しているのです。大津毛織さんもその一つということです」(地方局ディレクター

 3月20日付の朝日新聞大阪版では、《マスク生産 繊維のまち結束》として同プロジェクトを掲載している。取材した製品を広く紹介したいのは、マスコミの“性”。通販サイトに採用したのもうなづけよう。

マスクの製造元に直撃すると

 では、安倍首相に“名指し”された大津毛織に話を聞いてみると、

「非常に驚いた、というのが一番です(苦笑)。(発言の影響で消費者から)そっぽを向かれるかもしれないですし、それはわかりません」

 首相“発言”に困惑するとともに、今後の影響を多少なり危惧しているようだ。2枚で3300円という価格に関しては、

「一部で“ぼったくり”などと言われていることも承知しています。見方は様々ですし、それは消費者様それそれが感じるところだと思います」(大津毛織担当者)

 それでも製品自体に対しては、

「クオリティ的にマスク相応のレベルに達している。そう自負しています。

 通常、日本で流通しているガーゼはほぼ、中国から輸入した生地から作られています。弊社の場合は、日本で生産したガーゼのみを使用し、毛羽立ちにくい特別な加工も施しています。ガーゼを長年取り扱ってきた経験上、ガーゼというのは柔らかいものの、毛羽立つという部分で懸念されがちです。が、その毛羽立ちを抑える加工を施し、またガーゼ素材は耐久性が劣っているという印象を解消する技術も取り入れています」(前出・担当者)

 同社では、マスク以外の製品にも、素材には日本製のガーゼや綿を使用し、製造を行っている。まさに、日本のまち企業が誇る“ものづくり”技術が詰まった「ジャパン・ブランド」なのだ。

「みなさんがどう考えられるかわかりませんが(笑)、私たちはこういう形でこだわって作ってはいます」(前出・担当者)