終活を今から考えておく

 いつまでも元気でいると思ってはいても、人は必ず老いていきます。切実な問題でもある介護と相続のことも今から考えておきたいものです。

【在宅介護VS老人ホーム】
→在宅で365日24時間介護するのは、家族にとって大きな負担!

 介護が必要になったときに気になるのが費用です。公益財団法人家計経済研究所の調査によれば、在宅介護にかかる1人あたりの月額費用は平均6万9千円で、年間にすると82万8千円です。

 老人ホームにはさまざまなタイプがありますが、特別養護老人ホームの場合は月額費用は6万~15万円、介護付き有料老人ホームの場合、月額費用は20万〜25万円+介護サービス費など施設によって金額は大きく変わります。

 費用だけをみると在宅介護のほうが圧倒的に優位です。ただし、在宅介護には、介護者が肉体的・精神的に負担を感じるなど、いろいろな問題があります。

 自分自身の経験から、私は介護施設に入居することで本人と家族が幸せになるのが望ましいと考えます。

 たとえコストがかかったとしても、そこから派生する安心感や信頼感というパフォーマンスが伸びるのであれば、十分にコスパがいいといえます。

【老人ホームへの支払いは、一括VS月払い】
→入所する施設の規定をきちんと理解することが大切!

 老人ホームにはいろいろなタイプがあり、さらに入居や費用に関するルールも施設によってさまざまです。

 支払い方法を選ぶ前に「10年以内にもしものことがあった場合、一括払いのお金は戻ってくるのか」「入居10年を超えた場合の支払い方法は」など、しっかり調べてから決めるようにしましょう。

 支払い以外でも、気をつけたいのが、施設のある場所です。

 安いからと遠く離れた施設に入居すると、時間も交通費もかかって、どうしても会いに行く回数が減ってしまいます。頻繁に顔を見せに行ける場所も大事な基準。家族の出入りが多くあることで、報道などで耳にするさまざまなトラブル事件の制止にもなると思います。

【自分で遺言書を作るVSプロに頼む】
→プロによる「公正証書遺言」です!

「相続でのトラブルをよく耳にするけど、そんな財産もないから関係ないわ」と思っていたらアマイ!

 実は、遺産相続でトラブルが起きる7割は遺産が5000万円以下の世帯で、さらにその3分の1は1000万円以下の世帯。

 つまり、相続税がかからないような一般家庭の世帯がいちばんもめているということになります(平成29年司法統計参照:司法統計でみる遺産分割事件)。

 そこで、相続に関するトラブルを避けるために有効なのが遺言書。遺言書には自分で書いて作成する「自筆証書遺言」と、プロに作成してもらう「公正証書遺言」の2種類があります。費用的には実質0円の「自筆証書遺言」に軍配が上がりますが、おすすめは「公正証書遺言」です

 遺言書には細かなルールがたくさんあり、遺言書の有効性を家庭裁判所に判断してもらうとき、1か所でも不備があれば、その遺言書は無効になります。

 そうした状況に陥らないためにも、プロに書いてもらう「公正証書遺言」がおすすめなのです。たとえ10万前後の費用がかかったとしても、確実な公正証書遺言のほうが断然おトクです。

(取材・文/熊谷あづさ)


篠原充彦さん ◎篠原FP事務所代表。18歳で吉本総合芸能学院NSC入学(11期)。2丁目劇場やテレビなどで活躍後、一般企業に就職。後にCFPの資格を取得。ハリセンを持って笑いを交えたセミナーを行う人気講師でもある。