例えば、家事が大変なとき、「家事を手伝って!」ではなく、そもそもどのくらいの家事があるのかを言葉にします。ノートに書き出してみるのもいいでしょう。
「名もなき家事」といわれている部分を言葉や書き出したりすると、お互いがどの家事を担当しているのかを確認できます。すると、どちらかに偏りすぎていることも実感できるのです。
例えば、「ゴミ出し」なら、
・ゴミ箱に捨てる
・分別する
・曜日を確認して、出すゴミを選ぶ
・各部屋のゴミ箱からひとつに集める
・ゴミをまとめて集積場に持っていく
・ゴミ袋をセットする
のように、作業を細かくことばにしてみます。
そして、夫婦で客観的に状況を確認して、共有しましょう。細かい家事や子育て、仕事の大変さを想像して理解できるように話すことが大切です。夫婦で話をすれば、無駄な家事や仕事そのものを減らす、電化製品を買う、という新しい考え方や解決法も浮かぶかもしれません。
また、在宅中で仕事が大変なときは、「いま忙しいから話しかけないで!」で終わらせるのではなくて、「いまプロジェクトを任せられて、がんばり時なんだ。明日の昼までに資料を仕上げないといけないんだ」のように、「現状の大変さ」や「期間」も含めて話すことで、相手も見通しが立てられ、応援してくれるようになります。
「わかってくれているはず」「いちいち言わなくても自分ががんばればいい」と思って頑張ったのに、ある日突然、怒りが爆発してギクシャクしたり、あきらめて一切会話がなくなった夫婦をこれまでにたくさん見て来ました。
みな一様に「そのときに言ってくれればよかったのに」と言います。もめないためには、自分がつらいと感じている状況を感じたときに、客観的に相手に伝えることが大切です。
仕事のことは家庭にもち込まない、という人もいますが、ふた昔も前の話です。
いま家で仕事をしている人は、家族に仕事している姿が見えやすいとき。こんなときこそ、仕事の大変さや楽しさややりがいなども家族に話して、子どもの職業観や仕事をする意義なども自然に育めるとよいですね。仕事の大変さも家庭で話して、実情を理解し合うところから始めてみてください。
相手が受け入れやすい言葉遣いで頼る
どんなこともつい「自分ががんばればいい」「自分が我慢すればいい」と思いがちですが、これは夫婦間では間違いです。ひとりでできることには限界があり、我慢の積み重ねは疲労感や虚無感につながるからです。
人に助けを求める力、人に頼る力は大切です。お父さんとお母さんが頼り合う会話を聞いて育つと、子どもも問題をひとりで抱え込まずに、「助けてほしい」と素直に頼って解決できるようになります。
ポイント2:頼るときは、相手への要求ではなく、自分の大変さをわかってもらうこと。
「ゴミ出しくらいやってよ、何にもしないんだから」「君は1日中家にいるんだから、仕事の大変さがわからないよ」と伝えるのではなく、「これをひとりでぜんぶこなすのはつらい。ひとりではできない。助けてほしい」「明後日までに納品しないといけないから、いま集中したいときなんだ。わがままを言ってごめん。協力してほしい」
このように、自分の大変さを話して相手を頼りましょう。いっしょに協力して乗り越えようと相手が思えるように、笑顔で説明できるともっといいですね。