日ごろから抱いていた不満の増幅か
その後の取材で、この店主のものと思われるツイッターのアカウントを発見。
「#闇営業」「#仮面営業」とハッシュタグをつけながら、前出のビストロやラーメン店を写真や動画つきで紹介。
《こういう店には協力金下ろして欲しくない》
などとつぶやいていた。貼り紙の内容とも重複するので、この店主に改めて尋ねると、
「ええ、ツイッターは認めます。だけど、ビラやガラスを割ったのは、私じゃないですよ。それだけは別人がやったことで、私とは関係ない」
ビストロの貼り紙と同じ「態々」という表現が店主のツイッターにも出てくることを指摘すると、
「えっ、私は使いますよ。日常的に使っている言葉ですけどね」
と驚いたように話し、記者を店から追い出した直後からツイッターをブロック─。
「日ごろから抱いている他者への嫌悪感、妬み、そねみ、近隣トラブルなどが、休業要請がきっかけとなって、増幅されたのかもしれません。
自分のコロナに対する恐怖心や不安感が、一気に外に向けて吐き出されるという構図なんですね」
自粛警察の心理についてそう解説するのは、新潟青陵大学大学院の碓井真史教授(犯罪心理学)。
休業要請という言葉が“錦の御旗”となり、絶対的な正義を得たという気分になるのだという。
「本人は家族やコミュニティー、町、国を守りたいという気持ちが強く、それが過剰で歪んだ正義感となっているという側面もある。
一方では国や自治体、警察などへの不信感から、なぜパトロールしないんだという思いもあるので、こうした行動に出るのでは」(碓井教授)
要請を守らない人や店があることは問題だが、だからといって陰湿な行為が許されるはずはない。
街を歩き回り、パトロールまがいのことをしていることが、不要不急なのではということを考える必要がある。