新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、テレビ界でもさまざまな番組でリモート出演が導入され、定着しつつある。

「ニュースやワイドショーばかりでなく、5月に入ってからは、ドラマやバラエティーのリピート放送をする際に、出演者が冒頭やエンディングなどでリモートで出演。そして、紹介や本編の“フリ”を入れてカットを導入する取り組みも多く見られるようになってきました」

 と、あるテレビ誌記者は言う。

「特に民法の場合はスポンサーの関係で純粋な再放送ではなく、“特別編”とか“傑作選”と銘打って、新規の放送という形をとることも多いため、出演者のリモートカットを入れるということが手段のひとつになったのでしょう」(同前)

リモートで生じる“ズレ”と視聴者の飽き

 このリモート出演が本格的に導入されるようになってから1か月以上が経過したが、日々、最新の情報が更新される報道番組やワイドショーはともかく、バラエティーなどでは、そこまで無理に出演しなくてもいいのではという向きもある。

「ロケに出られなかったり、ひな壇に座らせられないための苦肉の策でしょうが、番組のレギュラータレントが、今、何をして過ごしているかを語られても、視聴者もそれほど興味を持てないのではないでしょうか」(同前)

 リモートであることを逆手に取ったドラマの制作をNHKが手がけるなど、さまざまな可能性を探っていることは確だが、やはり限界があるのだろうか。ある放送作家は、

「手法に関しては、まだ試行錯誤の途中なので限界とまではいえませんが、今の番組づくりではソーシャル・ディスタンシングによるテンポなどの限界は感じます」

 と言う。

同じスタジオで距離を取って放送する場合はまだ大丈夫なのですが、自宅や楽屋などとつないで放送する場合には、どうしてもテンポにある程度の“ズレ”が生じてしまいます。その場の空気がどうなっているかわからないため、盛り上がりにくくなってしまうということはあります」