最後にケイさんが「誓いますか?」と尋ね、藤田さんが「誓います」と言うと、山添さんが「いや、誓うんかい!」と声をあげたような気がしたが、ミュートを忘れた人の画面が大きく映し出されるハプニングが。画面が戻りそこにあったのは、立ち上がろうとする山添さんの姿。司会のエハラさんが「さすがM-1のファイナリスト! ほぼケイちゃんの漫談で、最後の一発の山添のコケは映っていないという。このために、山添は1時間もかけてきたのに」とすかさずツッコみ、さらに笑いが大きくなる。
一日限りの復活や、驚きのハプニングも
お色直しの際には新婦が退場するのが一般的だが「その時間がもったいないから」と、手作りのカーテン越しに生着替えが行われる、という粋な演出に。ここで藤田さんの相方・石山大輔さんが登場し、バンビーノがコントを披露。おなじみのダンソンネタを前に、出席者は「待っていました!」とばかりに盛り上がる。
続く余興パートでは、お笑いコンビの『ミキ』さんや『コロコロチキチキペッパーズ』さん、『祇園』さん、『プラス・マイナス』さん、『アイロンヘッド』さん、ピン芸人のバイク川崎バイクさん、もう中学生さんなどの豪華メンバーが、それぞれ渾身のネタを繰り広げる。
ミキさんがネタをやっている最中、ミュートを忘れた美容室がたびたび映るという事件が。2人はそれぞれが別の場所から中継で漫才をしており、さらに美容室が映り込むのでツッコミのタイミングが合わない。「いま美容室が映りましたかね……?」と、ヒヤヒヤした様子を見せると、プラス・マイナスの岩橋良昌さんが突然「オーシャンビュー!!」と叫んで一瞬、メイン画面に現れた。Zoomならではの割り込み方にどっと笑いが。ハプニングをもとっさの機転で乗り切る先輩芸人たち、さすがだ。
なぜか半裸の姿が映し出されたピン芸人の中山女子短期大学さんは「上半身、裸じゃないですか?」とふられると「Zoomなので自分は映らないと勘違いしていて、上、履いていませんでした」。周囲からは間髪を入れずに「普通逆や!」とツッコミが飛び交う。さらにこの日は、解散してしまったコンビ『カバと爆ノ介』さんも1日限りの再結成! 久しぶりに2人が漫才をする姿を前に、藤田さんも感極まっている様子。それぞれが、今日のためだけのネタをわざわざ一生懸命に考え、全力でやり遂げる姿を目にし、みんな藤田さんのこと、そしてお笑いが大好きなんだなあと実感した。
披露宴では、2019年『M-1グランプリ』の王者『ミルクボーイ』さんからのビデオメッセージが流れた。
「芸人さんの名前忘れてしもうて……。お笑いコンビのバンビーノの料理が得意な方やってんけどな」
「その特徴はバンビーノ藤田やないか!」
「おかんが言うには、その芸人さんの顔はみんなすぐ思い浮かぶと」
「ほな、藤田とは違うか。藤田は鹿の被り物のイメージが強いからパッと顔は思い浮かばへんのよ! もうちょっと詳しく教えてくれる?」
「かおりさんのこと誰よりも愛している」
「藤田やないか!」
思いっきり今日にフォーカスしたオリジナルネタがおもしろかったのはもちろんのこと、愛あふれる内容にホロリ。藤田さんも「(ミルクボーイのお2人には)礼儀とか、僕らが1年目のときから丁寧に教えていただいて、今日もこうして忙しいなか出てくださり……」と、笑顔で喜びを語っていた。
終盤、新婦が大好きだという大人気グループ『Mr.Children』のドラマー・鈴木英哉さんからのビデオメッセージも届く。藤田さんが「こんなにたくさんの方が集まってくださり、感動しました。本当に嬉しかったです」と言って奥さんと口づけを交わしたかと思えば「最後のキスいらんかったかなぁ〜」という照れ隠しまじりのセリフを放ち、結婚式はゆるやかに幕を閉じた。どこまでも盛り上げたいと考える藤田さんの人柄が垣間みえる終わり方だ。
初の“リモート結婚式”を経て、遠隔ならではの醍醐味や可能性を感じた。何より「お笑いにはやはり、世の中の不安げな雰囲気を払拭(ふっしょく)し、人々の気持ちを明るくできる力があるかもしれない」と、希望が持てる1日だった。
(取材・文/たかまつなな)