それでも、彼女を“私の後継者”と呼ぶほど信頼していたチズさんのショックと憤りはそうとうなものだった。
「実際、テレビや新聞の取材現場では、名指しでその女性スタッフへの恨み節を語っていましたから。でも、彼女はチズさんの会社を去った後、まだこの業界で仕事をしているんです。“トータルビューティーアドバイザー”という肩書でね。水井真理子氏がその人。プロフィールには佐伯チズの“さ”の字も出てきませんが、みんな、彼女だと知っていますよ」(同・美容業界関係者)
水井真理子氏を直撃
水井氏は、有名女性誌やWEBメディアなどの美容企画やインタビューにしばしば登場。’19年には著書も出版している。大恩人が亡くなった今、何を思うのか──。
6月10日、本誌は水井氏の自宅を訪ねた。都心の一等地にある瀟洒なヴィンテージ・マンションのインターホンを押すと、水井氏本人がオートロックを開けてくれた。玄関先に出て来た水井氏は、薄手の白いTシャツ姿で化粧っ気もなく“ビューティーアドバイザー”の面影はない。
─亡くなられた佐伯チズさんのお話を伺いたいのですが。
「どうやって、この住所がわかったんですか……!? 佐伯先生のことは、私が話せることではないので……」
─チズさんが生前、水井さんに「2億円を取られた」「会社を乗っ取られた」と話していたことについては?
「……このようなことになって……私がお話しできることはありませんので」
─チズさんが亡くなったと聞いたときは?
「つらくないわけ……ないじゃない……!」
水井氏は最後にそう言うとあふれる涙をぬぐった。それは惜別の涙だったのか、悔恨の涙だったのか──。